職場やビズネスメールで「ご相談させてください」という文言を、よく見聞きします。違和感はありませんが、これが正しい敬語なのかを問われたら、確信をもって言い切れる人はいないのではないでしょうか。そこで今回は、「ご相談させてください」は敬語として正しいのかを中心に解説します。
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この記事の監修者
キャリアカウンセラー|秋田 拓也
厚生労働省のキャリア形成事業にキャリアコンサルタントとして参画。
大手警備会社にて人事採用担当として7年間従事の後、現職にて延べ200名以上の企業内労働者へキャリアコンサルティングを実施。
■所持資格
国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)
「ご相談させてください」は正しい敬語か
「ご相談させてください」が正しい敬語かについて結論を出すためには、きちんと言葉の意味を理解する必要があります。ここでは「ご相談させてください」の意味と、相手に与える印象について説明します。
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「ご相談させてください」の意味
「ご相談させてください」は、「ご」「相談」「させて」「ください」の4つに品詞分解できます。「goo辞書」を参考に、それぞれの意味を以下にまとめました。
- ご/接頭語。 他人に対する行為を表す語に付き、その行為の及ぶ相手に対する敬意を表す言葉
- 相談/名詞。 問題を解決するのために話し合う、あるいは他者の意見を聞いたりすること
- させて/古語の助動詞である「さす」の下一段化したものの使役形。相手に許可をとるための表現
- ください/動詞である「くださる」の命令形。「お」を伴った動詞の連用形、「ご(御)」を伴った漢語、また、動詞の連用形に接続助詞「て」を添えたものなどに付いて、相手に何かを要望・懇願する意を表す
つまり「ご相談させてください」は、相手に相談にのるよう求める意味の言葉です。
「ご相談させてください」が相手に与える印象
「ご相談させてください」は、敬語としては正しい表現です。しかし、目上の人に対して使うのは適切とはいえません。それは、品詞分解した際の「ください」に問題があるからです。
「ください」が敬語ではありますが、命令形の言葉です。そのため、相手に対し強い口調でものをいっていることになります。つまり、敬語であっても相手を選ぶ表現ということです。
謙譲語で名詞の前に「お・ご」をつけるのは正しいか
接頭語には「ご」だけでなく、「お」もあります。そして、こうした接頭語は、相手が行う動作につける分には問題ありませんが、自分が相手に向かって行う動作にはつけないのが、文法の原則です。
しかし、例外的に謙譲語で名詞の前に「ご」や「お」を使うのは良しとされています。具体例として、以下のものがあげられます。
- 打ち合わせ日程のご連絡
- 送別会開催のお知らせ
- 営業状況のご報告
- 退職のご挨拶
- アポイントのお願い
上記はすべて正しい敬語なので、ビジネスシーンで使用して問題はありません。
「ご相談させてください」の言い換え表現
目上の人の対し、「ご相談させてください」というのは好ましくないことは前述しました。これまで使用していた人は、どんな文言にすべきなのか、悩んでしまうかもしれません。ここでは「ご相談させてください」の言い換え表現を3つ、紹介します。
表現①|ご相談いたしたく存じます
1つめは「ご相談いたしたく存じます」です。これは「相談したいと思います」という文言の敬語表現になります。また、より丁寧な「ご相談させてもらいたいと思います」を敬語表現にすると、「ご相談させていただきたく存じます」となります。相手に合わせて、使い分けましょう。
表現②|ご相談させていただけますと幸いです
2つめは「ご相談させていただけますと幸いです」です。これは、取引先へのビジネスメールでよくみられる文言です。相手に了承や許可を求める「させていただく」に、自分のうれしさを伝える「幸いです」と加えることで、「相談にのってもらえるとありがたい」という気持ちが表現できます。
表現③|ご意見をお聞かせいただきたく存じます
3つめは「ご意見をお聞かせいただきたく存じます」です。これは相談するにあたり、自分の考えがある程度まとまっている際に使うのが適した表現です。そのため、会社の上司や先輩など、親しい間柄の相手に使うのが適しています。
「ご相談させてください」を使ったビジネスメール例文
「ご相談させてください」は、ビジネスメールでも頻出する文言です。ここでは「ご相談させてください」を使ったビジネスメール例文を2つ、紹介しておきます。
例文①OB訪問をお願いする場合
件名:OB訪問に関するご相談(●●大学・▲▲▲▲)
株式会社■■ ○○部 △△△△様
初めてメールをお送りいたします。
私は●●大学●●学部●●学科の▲▲▲▲と申します。
大学のバスケットボール部の先輩を通じて△△様のことを知り、本日はOB訪問のお願いでご連絡を差し上げました。
ご多忙中とは存じますが、△△様のご都合のよい日時についてご相談させていただけますと幸いです。
お忙しいところ、お手数をおかけいたしますが、何卒、よろしくお願い申し上げます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
▲▲▲▲
●●大学●●学部●●学科
携帯電話番号:000-0000-0000
メールアドレス:aaa@aaaa.ac.jp
ーーーーーーーーーーーーーーーーー
面識のない相手に依頼のメールを送る場合は、自分が連絡先を知った経緯をきちんと伝えたうえで、お願いをするのがマナーです。OB訪問は自分の都合で行えるものではないので、希望日などを伝えるのは避けましょう。
例文②退職の相談をする場合
件名:ご相談
●●課長
お疲れさまです。▲▲です。
さて、私事で大変恐縮ではございますが、一身上の都合により退職することといたしました。
●●課長には突然のご報告となりましたこと、深くお詫び申し上げます。
これまで公私にわたってご指導・ご鞭撻をいただき、心より感謝いたしております。
そして、ご指導いただいたことは今後も自分の胸に秘め、精進をさ兼ねてまいる所存です。
なお、退職日につきまして、●●課長がお手すきの際に改めてご相談いたしたく存じます。
ご了承いただけると幸いです。
何卒よろしくお願い申し上げます。
■■部 ▲▲
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退職が確定になっていない場合は、件名は「ご相談」にとどめるのがセオリーです。また、自分の退職の意思が固まってからの相談の場合には、事前に話さなかったことへの謝罪を盛り込むのがマナーです。
相手に「相談してください」と伝える場合の表現
ビジネスシーンでは、自分が相手に依頼した事柄について、不明点や疑問点、困ったことがあれば相談してほしいと思うことがあります。そんなときには、相手が気軽に問い合わせられるよう、相談にのる意思があることを伝えるのがおすすめです。
ここでは、相手に「相談してください」と伝える場合の表現について説明します。
表現①|相談にのります
1つめは「相談にのります」です。同僚や取引先の中でも親しい担当者に使うのが適した表現です。具体的な使い方は以下の通りです。
- お困りのことがありましたら相談にのりますので、いつでもご連絡ください
- 私が以前担当していたクライアントなので、何かあったらいつでも相談にのります
ただし、上司に使うのは適切ではありません。その場合は、「お困りのことなどで私にできることがありましたら、お申しつけください」などの表現を用いましょう。
表現②|相談にのらせていただきます
2つめは「相談にのらせていただきます」です。これはクライアントに使うのに適した表現です。仕事をする中でクライアントに対し、「困ったときにはいつでも相談にのる」という意思を明示する必要がある機会は多いです。具体的な使い方は、以下の通りです。
- 何かございましたら、いつでもご相談にのらせていただきます
- 弊社以外が担当されている仕事で困りごとがあった際にも、ご相談にのらせていただきます
「ご相談ください」という表現も間違いではありませんが、その場合は「ご相談くださいませ」とする方がより丁寧になります。
二重敬語に気を付けよう
ビジネスシーンで、間違った敬語を使っている人は少なくありません。丁寧な言い方をしようと思うあまり、二重敬語になってしまうのは避けたいところです。ここでは二重敬語とは何か、間違えやすいものについて説明します。
二重敬語とは
小学館のオンライン大辞泉では、「二重敬語」について以下のように説明しています。
同じ種類の敬語を重ねて使うこと。ふつう、誤りとされる。尊敬語を重ねた「おっしゃられる(「おっしゃる」と「れる」)」や、謙譲語を重ねた「ご参上する(「参上」と「ご…する」)」など
つまり「二重敬語」とは、1つの単語に敬語を2つ以上重ねているものをさします。この場合、丁寧というより慇懃無礼(いんぎんぶれい)になってしまうので、相手が失礼だと感じる可能性があります。
間違いがちな二重敬語
日常的に使われている敬語の中にも、二重敬語はあります。具体的な例を以下にまとめてみました。
- お越しになられました ➡ お越しになりました
- ご覧になられますか ➡ ご覧になりますか
- お戻りになられました ➡ お戻りになりました
左が二重敬語で、右が正しい敬語での表現です。ただし、二重敬語の中にも社会的に容認されているものがあります。
- お伺いします/ 御の謙譲表現に謙譲語が加わった二重敬語
- お召し上がりになります/御の謙譲表現に尊敬語が加わった二重敬語
- ご案内申し上げます/ 御の謙譲表現に謙譲語が加わった二重敬語
上記の3例は、失礼にはあたりません。こうした事例を覚えておき、ビジネスシーンで活用しましょう。
また、何か助言を求める際にいう言葉として、「ご教示いただけますと幸いです。」があげられます。この言葉については以下の記事で紹介しています。興味のある方はご一読ください。
まとめ
今回は、「ご相談させてください」は敬語として正しいのか、言い換えの表現などについて解説しました。
日本語も時代と共に変容していますが、ビジネスシーンでは正しく敬語を使えるにこしたことはありません。「ご相談させてください」も、相手や状況によって言い換えが望ましいケースがあります。この記事を参考に、間違った使い方を正すところから始めてみてください。