社会人になると、「ご丁寧に」という言葉を使う機会が増えます。「ありがとうございます」の枕詞として、使われるのが一般的です。しかし皮肉を込めて使われることもあるので、注意が必要です。そこで今回は「ご丁寧に」の意味や使用例、言い換え方などについて解説します。
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この記事の監修者
キャリアカウンセラー|秋田 拓也
厚生労働省のキャリア形成事業にキャリアコンサルタントとして参画。
大手警備会社にて人事採用担当として7年間従事の後、現職にて延べ200名以上の企業内労働者へキャリアコンサルティングを実施。
■所持資格
国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)
「ご丁寧に」とは
ビジネスシーンでは、敬語を正しく使い分けることが大切です。敬語には「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の3つがありますが、「ご丁寧に」は丁寧語に分類されます。ここでは、「ご丁寧に」の意味と英語表現について説明します。
「ご丁寧に」の意味
小学館のオンライン大辞泉では、「丁寧」の意味を以下のように説明しています。
1 細かいところまで気を配ること。注意深く入念にすること。また、そのさま。「アイロンを―にかける」「壊れやすいので―に扱う」
2 言動が礼儀正しく、配慮が行き届いていること。また、そのさま。丁重 (ていちょう) 。「―な言葉遣い」
3 文法で、話し手が聞き手に対して敬意を表す言い方
「丁寧」に形容動詞の「に」がついて、「丁寧に」という言葉になります。この言葉は「親切で礼儀正しい」ことをさし、その敬語表現が「ご丁寧に」です。
「ご丁寧に」に限らず、丁寧語は相手への敬意を表す時に使います。相手の自分に対する行動への礼儀正しさや注意深さを表す時に使うのが一般的です。
「ご丁寧に」の英語表現
「丁寧に」は英語で、「politely」と表現します。例文は以下の通りです。
Thank you very much for telling me politely.
(ご丁寧にお知らせいただき、ありがとうございました)
英文では敬語を表す際にも、この単語が使われます。覚えておくと便利です。
状況別|「ご丁寧に」の使用例文
「ご丁寧に」という言葉はビジネスシーンにおいて、文語でも口語でも使います。そのため、相手に失礼がないように、使い方を覚えておくに越したことはありません。
ここでは、状況別に「ご丁寧に」の使用例文を紹介します。
文語で使う場合
研修やセミナー、講演会のお礼状やメールを送る時などは、「ご丁寧に」を文語で使うことになります。使用例は、以下の通りです。
- 先日は研修会でご丁寧な指導をいただきまして、誠にありがとうございました。
- 先日は弊社社員にご丁寧な対応をしていただき、ありがとうございました。
- ご丁寧なご返信をいただき、誠に感謝いたします。
文語で使う場合には、すでに起こったことを表現するため、「ご丁寧に」ではなく「ご丁寧な」が使われることが多いです。
口語で使う場合
「ご丁寧に」は対面での会話や電話でも、多用される表現です。使用例を以下にあげてみました。
- 様々な事例をご丁寧に説明いただき、ありがとうございます。
- 折り返しのご連絡、ご丁寧にありがとうございます。
- 本日はご丁寧なご挨拶をいただき、恐れ入ります。
口語で使う場合には、相手の行動を具体的に述べてから使うのがポイントです。また、その場で対応してくれたことへの敬意を表すのですから、過去形ではなく現在形で語尾を言い切る方がよいでしょう。
「ご丁寧に」を使用する際の注意点
「ご丁寧に」という言葉はビジネスシーンだけでなく、就活でも使う頻度が高いです。しかし、使い方を間違うと相手に対して失礼になることもあります。ここでは、「ご丁寧に」を使用する際の注意点を紹介します。
注意点①|乱用しすぎない
「ご丁寧に」はあらゆる場面で使える言葉ですが、文章でも会話でも乱用するのはおすすめできません。次章で紹介しますが、「ご丁寧に」を言い換える表現がいくつかありますので、同じ言葉をくり返さない配慮が必要です。
また、目上の人や取引先の方に使うのは問題ありませんが、近しい先輩などに使うとよそよそしく感じる人もいそうです。メール文面などでも、言い換えた方がニュアンスが柔らかくなるので、覚えておくと便利です。
注意点②|皮肉に聞こえないように注意する
「ご丁寧に」という言葉は、時に皮肉や嫌味に聞こえてしまうので注意が必要です。特に対面している際に「ご丁寧に」が皮肉に聞こえてしまうのは、あなた自身の態度や言い方に不満が表れている可能性が高いです。
また「ご丁寧に」ではなく、「ご丁寧な」と表現を変えると、ニュアンスが和らぎます。その場合は、相手がしてくれた行動を入れて、より具体的に表現しましょう。
「ご丁寧に」の言い換え表現
「ご丁寧に」には、様々な類語があります。相手との距離感やシーンに合わせて類語を使い分けると、ビジネスマナーを身につけた人と評価されるはずです。ここでは「ご丁寧に」の言い換え表現を4つ、紹介します。
①「わざわざ」
「ご丁寧に」の言い換え表現である「わざわざ」は、「そのためだけに」という意味があります。そのため、目上の人や取引先の方に使っても、失礼にはなりません。使用例は、以下の通りです。
- 本日はお忙しい中わざわざ起こしいただき、ありがとうございます。
天気が悪い日に来社してくれた取引先の方などに対し、相手の行動や労力への気遣いを表したい時におすすめの表現です。
②「詳細にわたる」
資料や説明が丁寧につくられている時には、「詳細にわたる」と言い換えるのがピッタリでしょう。「詳細にわたる」は、「細部まで事細かいこと」を意味しているからです。使用例は、以下の通りです。
- 先日の事例発表会では詳細にわたるケース紹介をしていただき、ありがとうございました。
お礼のメールを送る際などに使えるので、覚えておくことをおすすめします。
③「十分に」/「丁重に」
「ご丁寧に」の類語として使われる「十分に」は、「満ち足りで不足がない」という意味で用いられます。また「丁重に」は、「礼儀正しく、注意が行き届いている」ことをさします。そのため、「ご丁寧に」の言い換えとして用いられます。例文は以下の通りです。
- 来場者からの質問にも十分に答えていただき、本当にありがとうございました。
- 本日はご丁重なお祝いのお品を頂戴し、至極恐悦です。
「ご丁寧に」は自分を意識した表現であると前述しましたが、「十分に」と「丁重に」は相手の行動に重きをおく表現です。意識して使ってみましょう。
④「手厚く」
「手厚く」は、「扱いやもてなしが親切で丁寧である」ことを意味します。そのため、「ご丁寧に」の類語として用いられます。例文は以下の通りです。
- 母の入院中は手厚く看護していただき、誠にありがとうございました。
部下が取引先に同行してくれた上司に対し、「クライアントを手厚くもてなしてくれて」と表現すると、より感謝の気持ちが届きやすいはずです。
【ビジネスマナー】他にも気を付けたい敬語表現
ビジネスシーンでよく用いられている表現の中には、使い方が適切でないものも多いです。ここではビジネスマナーとして考えると、気をつけたい敬語表現を4つ、取り上げておきます。
①「ご連絡」
「ご連絡」とは、接頭語の「ご」を用いた「連絡」の敬語表現です。そのため、自分より目上の人に使います。使い方の正誤を、例をあげて説明します。
- ×:明日にでも私からご連絡差し上げます。
- 〇:昨日の案件について部長にお伺いしたいことがあり、ご連絡しました。
メール文面などで「ご連絡差し上げます」という表記をする人が多いですが、そもそも自分から連絡する際に使う言葉ではありません。さらに「差し上げる」が加わることで、相手と話すことで自分に何らかのメリットが受けられると期待するというニュアンスが漂うため、より不適切な表現です。
②「~たいです」
「~たいです」というのは、発信者の希望や願望を表す言葉です。そのため、ビジネスシーンで使うのは不適切です。使い方の正誤を、例をあげて説明します。
- ×:明日は△△社でクロージング予定なので、課長と同行したいです。
- 〇:明日△△社に伺いクロージングをしたいと考えているのですが、同行をお願いしてもよろしいですか?
自分の希望をかなえるために相手に依頼する場合、言葉の選び方や表現には注意が必要です。
③「助かります」
仕事でフォローやサポートをしてもらった時に、「助かります」と声がけしてしまう社会人は少なくありません。しかし、ビジネスシーンに適した言葉ではないのです。使い方の正誤を、例をあげて説明します。
- ×:明日は△△社でクロージング予定なので、課長と同行したいです。
- 〇:明日△△社に伺いクロージングをしたいと考えているのですが、同行をお願いしてもよろしいですか?
メール文面の場合は、「~していただけると幸いです」「~していただけると幸いに存じます」と表現するのがおすすめです。
④「ご苦労様です」
新入社員が職場で「ご苦労様です」というと、その時点でビジネスマナーが身についていないと判断されます。それは、「ご苦労様です」は目上の人から目下の人に使う言葉だからです。使い方の正誤を、例をあげて説明します。
- ×:(先輩に対して後輩から)懇親会の幹事役、ご苦労様です。
- 〇:(先輩に対して後輩から)懇親会の幹事役、お疲れ様です。
ただし、部下に対して上司から「〇〇さん、本日の懇親会の幹事役、ご苦労様でした」と声をかけるのは、マナー違反にはなりません。
まとめ
今回は「ご丁寧に」の意味や使用例、言い換え方などについて解説しました。
「ご丁寧にありがとうございます」という表現は、ビジネスシーンの様々なところで使えます。しかし多用すると語彙力がないと判断されるほか、シチュエーションによっては皮肉として受け取られる可能性もあります。他の言葉も含めて正しい使い方を覚え、ビジネスマナーを守ったコミュニケーションを実践してください。