内定が取り消された時の対処法は?学生に有利な判例もあるので諦めない!

内定の取り消しは違法にあたることがあります。特に、企業側による一方的な通知や承諾前の取り消しなど、正当性に欠ける場合は無効になります。今回は、内定が取り消されたときの対処法や事例などを紹介していきます。大学やハローワークなど、学生が頼りにできる場所は決して少なくありません。

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内定取り消しは違法であることが多い

企業による内定取り消しは、労働基準法や労働契約法の観点から違法にあたる可能性があることがあります。正当な事由がある場合の内定取り消しは認められることはあるものの、企業の一方的な取り消しは無効とされます。

ただし、ツイッターの書き込みでは、以下のように内定を取り消された内容が散見されます。

現実には、内定を取り消されて落ち込む学生の姿が見受けられます。内定が取り消されたことによって精神的に負うダメージも大きくなりますが、学生はどのような姿勢で対処すればよいのでしょうか。

なかには、内定の取り消しを受けたにもかかわらず、あえて気持ちを前向きにして、別の就職先を探す就活生もいます。

「内定を取り消す会社なのだから、それほど良いところではない」と割り切って、自分の新しい人生に視点を切り替えることも大切だと言えます。

内定が取り消された場合の通知方法

内定が取り消された場合、一般的に書面か電話にて通知が行われます。

書面の場合は、「採用内定取消通知書」が届きます。万が一この書面が届いたときは、なかに記載されている取り消しの理由が正当なものかどうか、しっかりと確認しておいてください。

また、内定の取り消しは、原則として解雇と同様の手続きが必要です。そのため、労働基準法20条にある「30日前までに予告を行うこと」が適用されます。この点も確認しておくとよいでしょう。

内定が取り消された場合の対処法

内定が取り消された場合は、次の4つの対処をすることができます。

  • ①文書回答を要求する
  • ②大学に相談する
  • ③就活エージェントにも相談してみる
  • ④弁護士をつけて交渉する

内定を取り消されたとき、「どのように対処してよいか分からない」という学生も多いはずです。一人で抱え込むことは避け、できるだけ周囲に相談することから始めてみてください。

目次

①文書回答を要求する

内定を取り消されたとき、就活生は企業と直接交渉することができます。まずは文書回答を要求し、企業に「採用内定取消通知書」を送ってもらうように依頼します。その通知書には、内定取り消しの理由が記載されます。

正当な事由なしに内定取り消しが行われた場合、法的な手段を使って会社と交渉することもできます。内定取り消しの際、企業が不当な内定取り消しだと認めないことが多いからです。

そのため、内定の証明書や、メールなどで連絡していた文面など、証拠となるものを必ず残しておきましょう。

②大学に相談する

内定を取り消されたときに、真っ先に相談したいのがいつも通っている大学です。懇意にしている就活担当者やキャリアセンターに相談に行きましょう。

大学は過去にさまざまな就活生のサポートを行ったことがあるため、内定を取り消されたケースについても知見やノウハウを持っています。大学によっては、企業との直接交渉を行ってくれることもあります。

③就活エージェントにも相談してみる

大学とともに、その企業の内定を獲得するために利用した就活エージェントにも相談しておきましょう。就活エージェントも大学と同様、就活トラブルの知識やノウハウを多く持っています。

また、企業や団体などが実施している就活相談会にも足を運んでみてください。就活のプロであるキャリアプランナーが在籍しており、就活でのトラブルの相談に乗ってもらえます。

④弁護士をつけて交渉する

内定取り消しの解決には、弁護士も心強い存在です。弁護士に依頼することで、内定取り消しの無効を法的に主張できたり、内定取り消しによって被った不就労期間中の賃金を請求することもできます。

初回のみ無料で相談を受け付けている弁護士事務所もあります。また、事務所によっては着手金なしで依頼を受けることもあります。成功報酬の相場は20万円前後、または獲得金額の10~15%です。

内定を取り消された学生は3つの権利を請求できる

内定を取り消された学生は、「地位確認」「損害賠償」「賃金仮払い」という3つの権利を請求できます。ただし、学生がこうした請求を行うのは簡単なことではなく、先ほど紹介した「④弁護士をつけて交渉する」が現実的となります。

①地位確認の請求

地位確認の請求とは、その会社で従業員として働くことのできる権利を訴えかけることです。つまり、内定の取り消しを無効だと請求することでもあります。

地位確認の請求が通れば、内定の取り消しを無効化し、その会社に勤めることが可能です。「どうしてもその企業で働きたい」という方は、地位確認の請求によって入社の権利を得られます。

②損害賠償請求

損害賠償請求を行うケースは、たとえば、一度内定を受けたことで別会社へのエントリーが取り止めになったり、就活浪人することなどにより、学生側に精神的な苦痛が発生してしまう場合です。

内定によって雇用契約が成立していたとみなされる場合、この損害賠償請求が認められることがあります。学生にとっては、内定取り消しによって受けた精神的損害を、金銭を受け取ることで和らげることができます。

③賃金仮払いの請求

賃金仮払いの請求とは、内定していれば実際に受け取れたであろう給与を請求することです。企業が内定取り消しを撤回しない場合、従業員として働く権利を主張した上で、この賃金仮払いの請求ができます。

内定取り消しに関する労働審判を行う場合、手続きが4月を越えてしまうことがあります。仮に審判が7月に行われたとすると、本当は仕事をするはずだった4月から7月分までの3ヶ月間の賃金を請求できるということです。

【事例】内定を取り消された後に裁判を起こした3つのケース

内定を取り消された後に、学生が裁判を起こしたケースもあります。ここでは、3つの裁判事例をお伝えしていきましょう。

①インフォミックス事件

インフォミックス事件とは、大手コンピュータ会社に勤務する労働者が別の会社からスカウトを受けました。採用内定を受けたにもかかわらず後に取り消しされ、それを違法として地位確認の請求をした事件です。(インフォミックス事件の裁判概要より参照)

その労働者は、企業から採用条件提示書と入社承諾書まで受け取っていたものの、その後、業績悪化という一方的な理由で内定を取り消されています。判決として、内定取り消しの無効と1年分の賃金仮払いが認められました。

内定取り消し通知が行われたのが、入社日からわずか2週間だったこと、さらに勤め先に対してはすでに退職届を提出していた観点から、労働者に過酷な結果を強制するものとして内定取り消しは無効となっています。

②大日本印刷事件

大日本印刷事件とは、新卒採用の通知を受け取った学生が、「当初から感じていたグルーミー(陰気)な印象がぬぐえない」という一方的な理由から内定の取り消しが行われ、企業に対して地位確認の請求をした事件です(大日本印刷事件の裁判概要を参照)。

その学生が通っていた大学は、原則として就活の二社制限や先決優先主義を採用していました。そのため、内定の通知を受け取った段階で、ほかに応募していた会社をすべて辞退していたとされます。

判決は学生側の主張が認められ、勝訴となりました。内定取り消しにいたる自由が不当であること、内定を取り消すことにより学生に大きな精神的負担を強いることなどが勝訴に結びついたといえるでしょう。

③HIV告知の是非を問う裁判

HIV告知の是非を問う裁判とは、病院でのソーシャルワーカーとしての内定を獲得した男性労働者が、選考時にHIVに感染していることを告げなかったとして、内定の取り消しを巡って争われた裁判です(採用時のHIVの告知是非を争う裁判を参照)。

病院側は、内定を通知後に、以前その男性が受診したときのカルテを参照しました。するとHIVに感染していることが発覚し、急遽内定の取り消しを男性へ通知しています。

男性は、「就労に問題はない」という医師の診断書つきで、不当な内定取り消しによって精神的な苦痛を受けたとして損害賠償を請求。一方、企業側は、「面接時にHIVではなく虚偽の告知を行った」と主張しています。

判決では、「感染の可能性は極めて低く、HIVと告げる必要はなかった」として、内定取り消しは違法にあたると判断されました。

【事例】和解したケース|日本テレビのアナウンサー

「日本テレビのアナウンサー内定取り消しに関する訴訟」では、内定の取り消しが不当だとして協議を行った後、労働者と企業が和解したケースにあたります。

この事件は、2014年11月に、日本テレビと内定を獲得していた女性学生との間で起こりました。

学生は当時ホステスのアルバイトをしており、日本テレビのセミナーの際、自己紹介シートにその職歴を記載していませんでした。内定通知を受けた後に、学生はホステスでの勤務経験があることを日本テレビへ報告しました。

日本テレビは、これを「虚偽の申請」と「清廉性の欠如」として、内定の取り消しを通知する事態にいたりました。

日本テレビの対応が不当だとして、2014年11月に第1回口頭弁論が行われ、この時点では両者ともに争う姿勢を見せています。

しかし、12月に東京地裁から和解勧告が行われると、日本テレビ側が一転して和解の意向へ。翌年1月に和解が成立し、日本テレビへの採用が認められました。

職歴を記載する自己紹介シートが正式な採用の場での利用ではなかったこと、「ホステス=清廉性に欠ける」という主張に正当性がなかったことなどが日本テレビ側の主張を不利にし、和解に至る要因となりました。

企業による内定取り消しには制約がある

内定は、内定の時点から労働契約が成立する「始期付解約権留保付労働契約」にあたると考えられています。労働契約が成立するということは、労働契約法や労働基準法など、企業にさまざまな制約が課されるということです。

ここでは、労働契約法や労働基準法などの観点から、企業による内定取り消しの正当性を考えていきます。

労働契約法16条|不当な内定取り消しは無効

労働契約法の16条には下記のような記載があります。

(解雇)
第16条
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

入社日までに内定取り消しに至る正当な事由が発生した場合、企業は契約をなかったことにできます。

しかし、労働契約法では、客観的に見て合理的な理由のない解雇を禁止しているため、労働契約にあたる内定でも、企業の一方的な内定取り消しは無効と考えてよいでしょう。

労働基準法20条|予告なしの内定取り消しを制限

労働基準法20条には下記のような記載があります。

(解雇の予告)
第二十条
使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。

内定は労働契約だと考えられるため、上記の労働基準法に当てはめると、企業側は予告なしの内定取り消しを行うことはできません。内定を取り消す正当な理由があり、なおかつ30日前までには内定者に通知を行う必要があります。

職業安定法施行規則|ハローワークへの通知義務

職業安定法施行規則には、第三十五条二号に内定取り消しについての記載があります。簡単に言えば、「企業が内定の取り消しを行うときは事前にハローワークに通知しなさい」ということです。

第三十五条 厚生労働大臣は、労働者の雇入方法の改善についての指導を適切かつ有効に実施するため、労働者の雇入れの動向の把握に努めるものとする。
 
2 学校(小学校(義務教育学校の前期課程及び特別支援学校の小学部を含む。)及び幼稚園(特別支援学校の幼稚部を含む。)を除く。)、専修学校、職業能力開発促進法第十五条の七第一項各号に掲げる施設又は職業能力開発総合大学校(以下この条において「施設」と総称する。)を新たに卒業しようとする者(以下この項において「新規学卒者」という。)を雇い入れようとする者は、次の各号のいずれかに該当する場合においては、あらかじめ、公共職業安定所及び施設の長(業務分担学校長及び法第三十三条の二第一項の規定により届出をして職業紹介事業を行う者に限る。)に人材開発統括官が定める様式によりその旨を通知するものとする。 
 
一 新規学卒者について、募集を中止し、又は募集人員を減ずるとき(厚生労働大臣が定める新規学卒者について募集人員を減ずるときにあつては、厚生労働大臣が定める場合に限る。)。
二 新規学卒者の卒業後当該新規学卒者を労働させ、賃金を支払う旨を約し、又は通知した後、当該新規学卒者が就業を開始することを予定する日までの間(次号において「内定期間」という。)に、これを取り消し、又は撤回するとき。
三 新規学卒者について内定期間を延長しようとするとき。

また、厚生労働省の「新規学卒者の採用に関する指針」によれば、以下のような記載もあります。

事業主は、やむを得ない事情により、どうしても採用内定取消し又は入職時期繰下げを検討しなければならない場合には、あらかじめ公共職業安定所に通知するとともに、公共職業安定所の指導を尊重するものとする。

このような観点から、内定の取り消しを受けたときは、近くのハローワークに相談に行くというのも方法の一つです。

まとめ

内定が取り消された場合、その理由が正当性に欠けると判断されると違法扱いになる可能性が高くなっています。そのため、企業へ「採用内定取消通知書」を要求し、しっかりとその理由を確認することが大切です。

また、内定が取り消されたときでも焦らず、まずは大学やハローワークなどに相談してみてください。

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