社会人になると、手紙やビジネスメールを送る機会が増えます。マナーを守って認(したた)めるためには頭語と結語を覚えておく必要があり、「前略」や「草々」もその一つです。また、女性らしい手紙の書き方として覚えておくと便利でもあります。そこで今回は「前略」や「草々」の使い方を解説します。
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この記事の監修者
キャリアカウンセラー|秋田 拓也
厚生労働省のキャリア形成事業にキャリアコンサルタントとして参画。
大手警備会社にて人事採用担当として7年間従事の後、現職にて延べ200名以上の企業内労働者へキャリアコンサルティングを実施。
■所持資格
国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)
「前略」とは
手紙やビジネスメールで「前略」を使いこなせるようになるためにも、意味をきちんと理解しておくのが先決です。ここでは「前略」の意味と英語表現について、説明します。
「前略」の意味
小学館のオンライン大辞泉によると「前略」の意味は、以下の通りです。
1 文章の前の部分を省略すること。
2 手紙文で、冒頭の時候のあいさつなどを省くという意で用いる語。冠省 (かんしょう) 。
手紙やメールで「前略」を用いることで、時候挨拶を省略することができます。ただし、時候の挨拶を省略していい場合は限定的です。
- 家族や親しい友人など近しい相手の場合
- 相手の体調を気遣う手紙やメールを送る場合
- 急用がある場合
- 用件だけを伝えたい場合
- 謝罪の場合
「前略」は、上記のタイミングに使うものだと覚えておきましょう。
「前略」の英語表現
「前略」を英語で直訳すると、「Abbreviation」となります。しかし、手紙などでその単語を使うことはないようです。
- How have you been doing?
(いかがお過ごしですか?)
親しい相手への手紙の場合は、時候の挨拶を省略し、上記のような使い方をするのが一般的です。しかし、欧米人が手紙やメールを書く際には用件のみを記載するものなので、「前略」に相当する言葉を実際に使うことはほとんどありません。
「前略」の結びは「草々」
「前略」は頭語です。頭語とは、手紙の冒頭に認める挨拶にあたるもので、必ず文末の挨拶となる「結語」とセットで使います。そして、頭語と結語の組み合わせにはルールがあります。
頭語が「前略」の場合は、「草々」を使うのが原則です。そして「前略」を使った場合は、時候の挨拶を省略して要件を続けてかまいません。
女性の場合は「前略」の結語として「かしこ」を使うケースもありますが、ビジネスメールでは「草々」を使うよう徹底しましょう。
「前略」を使った例文
「前略」は通常、家族や友人など親しい相手に使うものです。しかし、ビジネスシーンにおいても使用することがあります。ここでは、ビジネスメールで使う場合の例文をいくつか紹介します。
例文①|急用を伝える場合
前略失礼いたします。
この度急病のため入院・手術をすることとなり、ご迷惑をおかけして誠に申し訳ございません。
仮契約を結んだA社に明後日の13時に申込書をお持ちする予定となっております。
誠に申し訳ございませんが、誰か代わりに伺っていただきたく存じます。A社には私からも連絡をいたしますので、取り急ぎよろしくお願いいたします。草々
ーー
急病で仕事を肩代わりしてもらいたい時には、「前略」を使うことがあります。ただし、この場合は相手が上司となるため、「失礼いたします」という言葉を添えます。
例文②|お見舞いの連絡をする場合
前略失礼いたします。
奥さまに会社にご連絡をいただき、B部長の手術が無事成功したと伺い、部員一同安堵いたしました。術後の経過も順調とのことも伺いました。
ところで四半期目標の達成状況をご心配いただいていると思いますが、部員一丸となって奮起しており、達成の見込みが見えてまいりました。
お見舞いに伺う頃にはB部長に良い報告ができるよう、引き続き身を引き締めてまいります。
ご回復を心よりお祈り申し上げます。草々
ーー
入院中の上司に対し、お見舞いのメールを送る場合も、例外的に「前略」を使います。この場合も、「失礼いたします」をつけて使用するのがマナーです。
例文③|謝罪する場合
前略
この度はご依頼のあったレポートについて、期限を過ぎてからの提出となりましたことを深くお詫び申し上げます。
内容をご確認いただき、お取り計らいのほどよろしくお願いいたします。
取り急ぎ、ご報告申し上げます。草々
ーー
期日を過ぎたものを送る場合も、「前略」を使用します。これは上司に対して、使うことが多いです。取引先に対しては手紙やメールでこうした文面を送るより、謝罪を兼ねて訪問する方がよいケースもあります。
「前略」の注意点
手紙やメールで「前略」を使用する際には、相手に対して失礼がないように配慮する必要があります。ここでは「前略」を使う場合の注意点を3つ、説明します。
注意点①|基本的には目上の人には使わない
1つめは、基本的には目上の人には使わないことです。前述した例外的な使い方を除き、目上の人に対して時候の挨拶を省略するのは失礼にあたります。急用がある場合にも「前略」ではなく、「急啓」や「取り急ぎ申し上げます」と認めるのがマナーです。
注意点②|お礼状で使用するのは好ましくない
2つめは、お礼状で使用するのは好ましくないことです。社会人になるとお礼状を書く機会が増えますが、その場合は形式に則って認めるのがマナーです。いち早くお礼を伝えたい気持ちはわかりますが、相手によっては「慌ただしく伝えられるのは好ましくない」と考えることもあります。
注意点③|ビジネスシーンでは使わない方が賢明
3つめは、ビジネスシーンでは使わない方が賢明だということです。ビジネスメールは社外文書ですから、マナーに則って書くのが基本です。その際には、時候の挨拶を加えるべきでしょう。ただし、前述したように急いで謝罪しなければならない時は、用いてかまいません。
「前略」の類語
頭語と結語はどのようなシーンで手紙やメールを送るのかによって、使う言葉が変わります。適切に言葉を選ばなければなりません。ここでは「前略」を用いてかまわない、改まる必要がない場合に使用する類語を3つ、紹介します。
類語①|略啓
1つめは「略啓」で、「前略」同様に時候の挨拶を省略する際に使います。この場合の結語は「草々」「匆々(そうそう)」「不一」となります。
類語②|冠省
2つめは「冠省」で、「前略」より改まった場面で使う言葉です。この場合の結語は「早々」「草々」「匆々(そうそう)」「不一」となります。特に急いでいる用件の場合は、「早々」を使うとよいでしょう。
類語③|啓上
3つめは「啓上」で、「一筆啓上申し上げます」という使い方をするケースも多いです。これは男性が使う表現で、結語には「敬具」「拝具」「敬白」を用います。
まとめ
今回は「前略」や「草々」の使い方を解説しました。
手紙やビジネスメールを認めるにあたり、覚えておくべ頭語と結語はたくさんあります。中でも耳慣れた「前略」は、使用に適したシーンを選ぶ頭語であり、結語も男女や相手によって変わります。この記事を機会にしっかり覚えて、日常生活で役立ててください。