入社後、一定期間は試用期間として働くことになりますが、試用期間中に退職をすることは可能でしょうか。試用期間の退職と聞くと印象が悪く、その次の職探しへも影響が及ぶと考えられますが実態が気になると思います。本記事では、試用期間の概要、試用期間中の退職可否や退職理由に関してご説明致します。
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この記事の監修者
キャリアカウンセラー|秋田 拓也
厚生労働省のキャリア形成事業にキャリアコンサルタントとして参画。
大手警備会社にて人事採用担当として7年間従事の後、現職にて延べ200名以上の企業内労働者へキャリアコンサルティングを実施。
■所持資格
国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)
試用期間とは
学生の皆様にとって、正社員として働く際の雇用ルールは馴染みにくく、試用期間が何かご存じない方も大勢いらっしゃると思います。
本記事では、試用期間とは何かをご理解頂くために、試用期間の意味と雇用形態に関して解説致しますので、アルバイトの雇用状況と比較しつつご参照ください。
試用期間の意味
採用では、書類選考や複数の面接を経ているものの、本採用に適した人材かを見極めるのは難しいので、各会社独自の取り決めとして試用期間が設けられています。
- 企業は1カ月から6カ月程、任意の試用期間を定められる
- 組織文化や業務への適応しているかを評価判断する
- 労働者側は実務を通して会社の実情を把握できる
このように、試用期間は企業と労働者の双方にとって意味がありますが、長期雇用を前提としているため試用期間中であっても正当な理由なく解雇することは禁止されています。
試用期間中の雇用形態
試用期間中の雇用形態は、労働法に定められている規則に沿っている限り、各企業が自由に定めることは可能です。
- 毎日の始業時刻から終業時刻
- 賃金の計算と支払方法
- 退職にかかかる事項
しかし試用期間中であっても、企業は労働者に対して以上のような雇用上の情報を就業規則にて提示することが義務付けられています。
また、試用期間中は本採用とは業務内容を変えているケースも多く、その場合には給料や福利厚生の内容が若干異なる場合もあるので注意が必要です。
試用期間中の給料
試用期間中の給料は、各企業が任意で定めることができ、以下のように分類されます。
- 試用期間中も、本採用と同額の給料が支払われる
- 試用期間中は、本採用よりも少ない額の給料が支払われる
この際、1日当たりの平均日給が各都道府県の定めている最低賃金を、下回っていないか厚生労働省が公開している地域別最低賃金の全国一覧を参照して確認しましょう。
また、募集要項や就業規則では本採用と同額の給料が提示されているにもかかわらず、試用期間を理由に少ない給料が支払われるケースにも注意しましょう。
試用期間中の福利厚生
試用期間中であっても、企業は労働者を各種社会保険 (雇用・健康・労災・厚生年金) へ加入させることが義務付けられており、試用期間前後で福利厚生に違いはないとわかります。
- 2ヶ月以内の期間を定められた臨時雇用者
- 日々雇い入れられ、期間が1ヶ月以内の者
- 4ヶ月以内の季節労働者
- 6ヶ月以内の臨時的事業の事業所に使用される者
例外として、これらの条件に当てはまる場合、企業は労働者を各種社会保険へ加入させなくても良いとされています。
試用期間中の退職は可能か
前述の見出しにて、試用期間とは何かを解説致しましたが、働く側がどの程度自由に退職できるのかを知りたい方もいらっしゃると考えられます。
そこでこちらの見出しでは、試用期間中の退職は可能かという点に対して3つのポイントを解説致しますのでご一読ください。
試用期間中の退職で気をつけたいこと
1つ目のポイントは、試用期間中の退職で気を付けたいことであり、分類すると以下に気を付けるべきだと挙げられます。
- 労働契約を締結しているため、即日退職で辞めることはできない
- 労働法では2週間前に退職の申し出が必要と定められている
- 就業規則等にて退職の申し出日が規定されていればそれに従う
正社員として働くことは、労働契約を結んでアルバイトよりも責任を伴う雇用形態であり、退職をする際には、これらを考慮して取り組むことが推奨されます。
仮に、試用期間中に嫌なことがあったからと言って、即座に退職をすることはできないので、事前に労働契約や就業規則等を確認しておきましょう。
試用期間中の退職の手順
2つ目のポイントは、試用期間中の退職の手順となりますが、大きく分けて以下3つの手順に沿うことが推奨されます。
- 担当上司への口頭説明
- 書面での退職届提出
- 人事への各種手続き確認
退職を決意した際、最初に業務管理を行う上司へ事情を説明して、引継ぎが退職日までに完了するように取り組みつつ、事務手続きを進めていくこととなります。
担当上司への口頭説明
退職をする場合、まず第一に担当上司への口頭説明を行うことが求められます。口頭説明では、主に以下の内容を説明すると良いでしょう。
- 希望する退職年月日
- 退職を決めた経緯、もしくは背景
- 担当する業務内容の引継ぎ計画
退職の意思を上司に伝えても、考え直すよう要求されることが一般的であり、話を進めるためにはこれらのポイントを提示して、本気度を見せることが必要と考えられます。
書面での退職届提出
上司への口頭説明完了後、法的に退職の意思を示すための書類として、退職届を書面にて提出することが求められます。
- メールにて、関係する上司に対して退職届を送る
- 退職届を書類で用意して手渡しする
方法としては、メールか書類の2つが挙げられますが、退職日を伸ばされたり退職に対して懸念を示される不安がある場合には、記録しておくと良いでしょう。
人事への各種手続き確認
口頭説明と正式な退職届の提出が終わると、人事部と各種退職手続きを進めていくこととなります。
- 退職金の振込先書類の記入
- 退職に際しての注意事項(競業忌避義務、特許権など)
- 各種社会保険からの脱退手続き
例えば、退職手続きとしてはこのような書類にサインをしますが、人事部内でも担当者が分かれている場合、別の日時で調整が求められるため期日に余裕をもって行いましょう。
試用期間中の退職区分
3つ目のポイントは、試用期間中の退職区分についてであり、大きく分けて自主退職と合意退職の2つがあります。以下では、自主退職と合意退職の概要をそれぞれ解説致します。
自主退職
自主退職とは、労働者から使用者への一方的な退職意思の表示により効果が発生し、使用者からの合意や了承は必要としない退職区分です。
- 退職意思を一度示した後で撤回することはできない
- 労働者の一存で退職日を決定することができる
- 口頭説明は原則不要だが、事務的な退職手続きは必要
自主退職の場合、以上のような特徴があり合意退職よりも希薄な進め方となるため、退職にあたり上司や会社側ともめる可能性が高いと考えられます。
合意退職
合意退職とは、労働者から使用者に対して然るべき口頭説明、退職届の提出と協議を経て、相互合意に基づき退職の効果が発生する退職区分です。
- 退職届を提出しても使用者の受理(退職の相互合意)前であれば撤回が可能
- 労働者と使用者の協議によって退職日を決定する
- 口頭説明、退職届の提出と各種手続きがすべて必要
合意退職では、自主退職よりも手順が複雑になりますが、協議と合意を経てから退職が正式に決まるため、引継ぎでもめる可能性は自主退職よりも低いと言えます。
試用期間中に退職する際の理由
試用期間中であっても、退職することは可能であるとわかりましたが、実際に退職へ踏み切る際にはその理由を説明することが課題となります。
そこでこちらの見出しでは、試用期間中に退職する際の理由として4つをご紹介致しますので、ご自身の状況に応じて適切な理由をご活用ください。
社内環境が求めていたものと違った
1つ目は、社内環境が求めていたものと違ったという理由であり、自らのリサーチ不足ではなく会社側からの説明と一部が異なっていたという趣旨で説明する必要があります。
突然のお知らせで恐縮ですが、社内環境が就職活動時に伺っていたものとは大きく異なっており、試用期間後も働いていくことが難しいため、X月Y日をもって退職をさせて頂きます。
会社説明会や面接では、第一線で働く営業担当の方とともに外回りができると伺いましたが、実際には事務作業のみとなっており、環境が求めていたものと違うと判断致しました。
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社内環境を退職理由とする場合、具体的に何がどう異なっており、なぜダメなのかを明確に説明しましょう。
雰囲気や社風が合わない
2つ目は、雰囲気や社風が合わないという理由であり、業務に支障が出る懸念や労働環境としては不適切な見込みがあるという説明をすべきだと考えられます。
試用期間中のご連絡となり恐れ入りますが、御社の雰囲気や社風が合わないと感じており、X月Y日をもって退職とさせて頂きたく、ご連絡を差し上げました。
昨今、働き方改革が進む中仕事とプライベートの両立を目指しておりましたが、御社では時間外勤務や長時間労働が当たり前の社風が依然としてあり、難しいという結論に至りました。
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雰囲気や社風を退職理由とする場合、労働法に照らして不適切な事実を提示することを心がけましょう。
家庭の事情で働けなくなった
3つ目は、家庭の事情で働けなくなったという理由であり、家族の介護や家業を継ぐなど明確な状況を加えて説明することが推奨されます。
入社間もないですが、実家の家業を急遽継がなければならない事態となったため、X月Y日にて退職をさせて頂きたいと考えております。
面接でもお話しした通り、実家は酒屋を営んでおりますが、不慮の事故で父親が大けがを負ってしまい、私が後継者として仕事を引き継いでいかなければならない状況となりました。
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家庭の事情を退職理由とする場合、試用期間中に急遽退職をせざるを得ないという逼迫した事情を伝えると良いでしょう。
体調を崩したり怪我で働けなくなった
4つ目は、体調を崩したり怪我で動けなくなったという理由であり、会社への迷惑を考慮して致し方なく辞めることを決めたという結論にすると良いでしょう。
試用期間中のご連絡となり恐縮ですが、先日自動車事故で大けがを負ってしまい動けなくなったため、X月Y日をもって退職をさせて頂きたいと思いご報告差し上げました。
建物を建築する仕事に憧れを抱き入社致しましたが、怪我によって求められる仕事ができないと感じており、今後の人生も含めて考える時間が欲しく退職を決意致しました。
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怪我で動けなくなったことを退職理由とする場合、仕事を行うことが難しいという理由に加えて、今後を考える時間が必要と説明しましょう。
試用期間中の退職は今後に影響があるのか
上述の見出しでは、試用期間に退職する手順や伝える理由をご説明致しましたが、退職した後の影響に不安を感じる方もいらっしゃると考えられます。
本見出しでは、試用期間中の退職は今後に影響があるのかという疑問に対して、2つのポイントから解説致しますのでご参照ください。
試用期間中の退職は履歴書に書くか
1つ目のポイントは、試用期間中の退職は履歴書に書くかというものであり、回答としては「次の履歴書に書く必要がある」となります。
- 勤務日数に関わらず、労働契約を結んで雇用された経歴となる
- 履歴書に記載しない場合、大学卒業後の就職先が無い状態となる
以上2点が、試用期間中の退職を履歴書に記載する理由となりますが、理由はどうであれ正確に履歴書を書く必要があると考えられます。
仮に、試用期間中の退職を履歴書に記載せず次の会社に採用されて、その後履歴書の一部が虚偽だったと判明した場合、解雇事由になることも考えられます。
試用期間中の退職は転職に不利か
2つ目のポイントは、試用期間中の退職は転職に不利かというもので、回答としては「人によって状況は異なるため一概には言えず、対策を講じるべき」となります。
- 試用期間中に退職をすることとなった背景
- 退職をせざるを得なかった原因とその防止策
退職をして新たに求職をする場合、転職エージェントのみならず応募先の採用担当には、以上の説明を詳しく話すことが推奨されます。
状況がわからなければ、雇ってもすぐに退職してしまう人と見なされるかもしれませんが、事情を詳しく説明して、更に同様のケースをどう解決すべきか話せば問題はないと言えます。
試用期間中の退職を防ぐには
ここまで、試用期間中の退職に関して解説をして参りましたが、実情として試用期間中に退職する事態を避けるべきだとも考えられます。
そこで本見出しでは、この記事の締めくくりとして試用期間中の退職を防ぐにはどうすべきか2つのポイントをご紹介致します。
事前に業務などを調べておく
1つ目のポイントは、事前に業務などを調べておき入社前後でのギャップが生じる事態を防ぐことです。
- 企業の会社説明会やホームページ上の事業内容
- リクナビやマイナビに掲載されている各社の求人情報
- 特定の業界で比較した各社の業務内容
試用期間中に退職をする原因の一つとして、就職活動中に自らが働く企業の業務内容を詳しく調べておらず、イメージと違っていたという状況に至ることが挙げられます。
そのため、以上のような方法によって事前に業務を調べておくことで、自分がやりたい仕事と同じ、或いは近いのかを判断することができます。
社員に話を聞いて情報を集める
2つ目のポイントは、社員に話を聞いて情報を集めることであり、具体的には以下のような機会を活用することが推奨されます。
- OBOG訪問によって、志望先企業で働く先輩の話を聞く
- 会社説明会や合同説明会で質問をする
- 座談会や選考内での逆質問を活用する
会社のホームページを見ても、イマイチ実態が掴めないことは多々あり、考えていたのと違うという結果に繋がってしまうことがあります。
そこで、これらのような機会を活用して働いている社員の話を聞き、入社して働き始めてからも不満や懸念を抱くことはないかを考えておくと良いでしょう。
まとめ
本記事では、まず初めに試用期間の概要を説明して、次に試用期間中に退職は可能かと、退職する際の理由を解説致しました。
また、労働者にとって試用期間中の退職が今後にどう影響するかや、試用期間中の退職を防ぐためにできることもお伝えしました。
退職は人生に大きな影響を及ぼすため、事前によく考えてから実行してはいかがでしょうか。