雇用保険は、社会保険制度の一つです。失業保険を思い浮かべる人が多いと思いますが、他にも給付制度があります。失業保険の受給にあたっても、退職の理由や加入期間によってもらえる金額は変わります。そこで今回は雇用保険とは何か、失業手当としてもらえる金額の計算方法などについて解説します。
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この記事の監修者
キャリアカウンセラー|秋田 拓也
厚生労働省のキャリア形成事業にキャリアコンサルタントとして参画。
大手警備会社にて人事採用担当として7年間従事の後、現職にて延べ200名以上の企業内労働者へキャリアコンサルティングを実施。
■所持資格
国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)
雇用保険とは
雇用保険とは、労働者が失業または雇用の継続が難しくなった際に必要な給付を行うための制度です。厚生労働省が管理・運営を管轄していますが、実際の手続きは公共職業安定所(ハローワーク)が担当します。ここでは、雇用保険の役割や給付される手当の種類について詳述します。
雇用保険の役割
厚生労働省の公式サイトにある「雇用保険制度」では、その内容を以下のように説明しています。
労働者の生活及び雇用の安定と就職の促進のために、失業された方や教育訓練を受けられる方等に対して、失業等給付を支給します。また、失業の予防、雇用状態の是正及び雇用機会の増大、労働者の能力の開発及び向上その他労働者の福祉の増進等をはかるための二事業を行っています。
そのため、様々な保険給付を行っています。ここでは、雇用保険から受けられる手当について、具体的に説明します。
雇用保険で受けられる手当
雇用保険から受け取れる給付金は、基本手当である失業手当だけではありません。具体例として、以下のものがあげられます。
- 求職者給付
- 就職促進給付
- 教育訓練給付
- 雇用継続給付
そして、給付制度によって受給条件も異なります。ここではそれぞれの手当がどんな時に給付されるのか、その種類について説明します。
求職者給付
求職者給付とは、条件を満たす雇用保険の被保険者が退職・解雇・定年などの理由で失業した際に生活を保障する手当のことです。失業手当をイメージする人が多いと思いますが、以下のように様々な種類があります。
- 基本手当/失業時に要件を満たしていると支給される手当。一般的に失業手当といわれている
- 傷病手当/雇用保険の被保険者が病気やケガで働けなくなった時に支給される手当
- 技能習得手当/基本手当の受給者が再就職のために、公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受ける場合にのみ支給される手当
- 寄宿手当/基本手当の受給資格者が公共職業訓練等を受けるために、扶養している家族と別居する場合に支給される手当
基本手当を受給するにあたっては、以下の要件を満たす必要があります。
- 雇用保険の一般被保険者であった期間が、離職以前の2年間で合計12カ月以上ある
- 公共職業安定所(ハローワーク)での求職の手続きを行い、働ける能力はあるが失業状態であると認定されている
基本手当が受給できる期間は、離職の理由や年齢など様々な条件によって異なります。
就職促進給付
就職促進給付とは、再就職の支援あるいは再就職後にその仕事に長く従事できるよう支給される手当をさします。種類は以下の3つに分かれています。
- 再就職手当/基本手当の受給者が早期に再就職を果たし、要件を満たした際に支給される手当
- 就業促進定着手当/再就職手当の受給者が6ヶ月以上、離職前よりも低い給与で雇用されている場合に支給される手当
- 広域求職活動費/公共職業安定所(ハローワーク)の紹介により、 距離が往復200キロメートル以上ある企業の見学や面接にかかった宿泊費と交通費を支給するもの
再就職手当の受給にも、条件があります。
- 基本手当の受給者で、基本手当の支給の残り日数が給付期間の3分の1以上ある
- 再就職先に1年以上勤務する
- 再就職先が資金や人事面を含めて、離職前の事業所と一切つながりがない
- 再就職手当の給付が決定されるまでに、離職していない
- 公共職業安定所(ハローワーク)に求職申込をした時点で、すでに内定していた職場への再就職ではない
- 3年以内に、再就職手当や常用就職支度手当てを受け取っていない
- 受給手続きを行ってから、就職あるいは事業を開始するまでの期間が7日間以上ある
上記が主な受給条件です。詳細については、所轄の公共職業安定所(ハローワーク)に問い合わせましょう。
教育訓練給付
教育訓練給付とは、一定の条件を満たす一般被保険者または一般被保険者でなくなったときから1年以内の求職者が、厚生労働大臣が指定している教育訓練を受講し、終了した場合に支給される手当です。これは、在職中の会社員も対象だということです。種類によって、内容が異なります。
- 一般教育訓練給付金/10万円を上限に教育訓練経費の20%が支給される
- 専門教育訓練給付金/1年間に40万円、3年で120万円を上限に教育訓練経費の50%が支給される
ただし、教育訓練給付を受けるためには、以下の条件を満たす必要があります。
- 厚生労働大臣の定める講座を修了する
- 雇用保険被保険者期間が3年以上ある
- 複数回の支給を受ける場合には、次回の受給までに3年以上の期間があいている
会社員でもスキルアップや資格取得を目的に、利用している人がたくさんいます。
雇用継続給付
雇用継続給付とは、高齢者の就業促進や就業意欲の維持を行うため、あるいは介護や育児で休業する際に被保険者に対して支給される手当です。主な種類として、以下のものがあげられます。
- 育児休業給付/一般被保険者が、1歳または1歳2か月未満(保育所に入れないなどの事情がある際には1歳6か月まで)の子を養育するために、育児休業した場合に支給される手当
- 介護休業給付/一般被保険者が家族を介護するために、介護休業した場合に支給される手当
- 高年齢雇用継続給付/60歳時点の賃金と比べて賃金が75%未満になった場合に、減った賃金の15%を上限として65歳になる月まで支給される手当。対象は雇用保険の被保険者であった期間が5年以上ある、60歳以上65歳未満の一般被保険者に限る
育児休業給付や介護休業給付は身近なものですが、高年齢雇用継続給付を知らない対象者も多いようです。ぜひ覚えておきましょう。
雇用保険で受けられる失業手当について
失業手当は雇用保険に含まれるものですが、正式名称ではありません。正しくは「求職者給付金の基本手当」をさします。ここでは、雇用保険の被保険者にとって一番耳なじみのある、失業手当について詳しく説明します。
失業手当とは
失業手当は、失業期間の生活を安定させ、再就職活動を支援するというために給付される手当です。そして、受け取れる金額は人によって異なります。ここでは、失業手当の受給金額の計算方法について説明します。
金額の計算方法
失業手当は、手続きをした求職者が退職前の6ヶ月間に受け取っていた賃金をベースに、金額が決められます。そのため、計算方法を知っておくと、自分の受給額を知ることができます。「ハローワーク情報サイト~ハロワのいろは~」にある、「失業保険(失業給付額)を自動計算する」など、自動計算できるサイトも多いので、活用してみてください。
①退職前の6か月間の給料合計額を調べる
失業手当を計算するためには、退職前の6か月間の給料合計額を調べる必要があります。給料合計額に含まれるのは、以下の項目です。
- 基本給
- 時間外労働手当
- 営業手当
- 通勤手当
- 住宅手当
この給料合計額には、「賞与」「解雇予告手当」「退職金」などは含まれません。
②1日当たりの平均賃金を求める
退職前6か月間の給料合計額がわかったら、1日当たりの平均賃金を求めます。計算式は、以下の通りです。
- 6か月間の給料合計額÷180日
この計算により、自分の賃金日額が算出できます。
③離職時の年齢と1日当たりの平均賃金から、1日当たりにもらえる失業手当を求める
前述した離職時の年齢と1日当たりの平均賃金から、1日当たりにもらえる失業手当を求めます。ただし、賃金日額と離職時の年齢によって、1日あたりにもらえる失業手当の金額である「基本手当日額」が変わります。 年齢は、以下の4つに区別されます。
- 29歳以下または65歳以上
- 30~44歳
- 45~59歳
- 60~64歳
この年齢区分と賃金日額による、1日あたりの平均賃金を以下の表にまとめてみました。
離職時の年齢や賃金日額によって、失業手当の給付率が変わります。そのため、同じ賃金日額でも、年齢によって違いが生まれます。
失業保険がもらえる期間
雇用保険の一般被保険者で、受給条件を満たしている人は、公共職業安定所(ハローワーク)で手続きを行うことで、失業手当の給付が受けられます。しかし、退職の経緯などによって、受給開始日や期間に違いがあります。また、失業手当は給付期間も明確に決められています。ここでは、退職理由別の失業保険がもらえる期間について説明します。
自分都合と会社都合
失業手当は、離職理由や勤続年数によって、受給期間や金額が異なります。ここでは、退職理由が自己都合と会社都合だった場合の違いについて説明します。
自分都合の場合
自己都合退職とは、自分や家庭の事情などにより、一般被保険者が自ら企業に退職を申し出ることをさします。主な理由には、以下のものがあります。
- 転居
- 結婚
- 妊娠・出産
- 育児
- 介護
- 病気療養
- 転職
自己都合退職の場合、一般被保険者の年齢に関わらず、雇用保険の被保険者期間によって、所定給付日数が決まります。
近年は新卒採用者の早期離職が増えていますが、入社後1年未満で退職すると、失業手当を受け取ることはできません。よく覚えておきましょう。
会社都合の場合
会社都合退職とは、企業から一方的に労働契約を解除されることをさします。主な理由には、以下のものがあります。
- 倒産
- 業績悪化によるリストラ
- 従業員に重要な自由がない解雇
- 職場でのハラスメントが原因の退職
- 勤務場所や勤務時間、賃金・職種が締結した労働契約と著しく違うことが原因の退職
- 大幅な減給
- 給与の未払い
- 早期退職優遇制度の利用者以外の従業員が退職勧奨を受けた
- 当該労働契約が更新されない事態に陥った
会社都合退職の場合、一般被保険者の離職時の年齢と雇用保険の被保険者期間によって、所定給付日数が決まります。
ただし、懲戒解雇は自己都合退職になるため、会社から言い渡された時に理由を確認する必要があります。
雇用保険の手当てをもらうには
雇用保険の給付を受ける場合には、本人または雇用主である企業が、所定の事務手続きを行わなければなりません。申請する際も、必要書類を揃える必要があります。ここでは、雇用保険の中でも失業手当をもらう方法を説明します。
①離職票を準備する
1つめは、離職票を準備することです。会社を退職すると、「資格喪失確認通知書(被保険者通知用)」と「離職票2」が送られてきます。そこに、失業手当を振り込んでもらう口座など所定の内容を記入し、公共職業安定所(ハローワーク)に持参します。
ただし、企業によっては離職票の送付が遅れることもあります。離職後2週間経っても離職票が届かなかった時は、公共職業安定所(ハローワーク)に行き事情を説明しましょう。公共職業安定所(ハローワーク)から退職した会社に、催促の連絡を入れてくれます。
②受給資格の確認
2つめは、公共職業安定所(ハローワーク)に行き、受給資格の確認をすることです。公共職業安定所(ハローワーク)には前述した離職票以外に、以下のものが必要です。
- 雇用保険被保険者証
- 印鑑
- 縦3cm×横2.5㎝の写真
- 普通預金通帳
- マイナンバーを確認できる書類
- 運転免許証やパスポートなど写真入りの本人確認書類1点または公的医療保険の被保険者証、年金手帳、児童扶養手当証書など身分が証明できるものを2点
公共職業安定所(ハローワーク)で求職の申し込みをしたうえで、失業手当の受給申請を行います。その際、失業手当の受給条件を満たしているかどうか、担当者が確認します。すべての条件を満たし、申請が受理されると7日間の待機期間を言い渡されます。
③雇用保険説明会に参加する
3つめは、雇用保険説明会に参加することです。失業手当の申請を行った日から7~10日後に、再び公共職業安定所(ハローワーク)に来るように指示されます。その際に雇用保険説明会が行われ、2時間ほどの映像を鑑賞します。この説明会を経てようやく、雇用保険受給資格証と失業認定申告書を受け取ることができます。
ただし、自己都合退職の場合はその日から3か月の給付制限期間に入ります。この期間は公共職業安定所(ハローワーク)が主催する講座を受講したり、求人に応募するなど、具体的な転職活動を行わなければなりません。
④指定された日にハローワークに行く
4つめは、指定された日に公共職業安定所(ハローワーク)に行くことです。失業認定申告書には、次に公共職業安定所(ハローワーク)に行く日が指定されています。その日に担当窓口まで行き、失業認定申告書を提出しなければなりません。また、失業認定日の前日までに、1回以上求職活動を行っておく必要があります。
給付制限期間を過ぎ、失業認定申告書が受理されると、失業認定日から5営業日程度で失業手当が振り込まれます。失業手当を受け取る限り、1か月に一度は失業認定申告書の提出のため、公共職業安定所(ハローワーク)に出向く必要があります。
まとめ
今回は雇用保険とは何か、失業手当としてもらえる金額の計算方法などについて解説しました。
失業手当以外にも雇用保険から給付される手当があり、受給条件を満たせば誰でも申請ができます。一般被保険者として保険料を納めているのですから、必要に応じて活用することをおすすめします。ただし、虚偽の申告をして手当を受給した場合には返還義務を負います。失業手当も再就職支援のための制度ですので、正しく活用しましょう。