鉄鋼業界とは?|鉄鋼業界の4大企業や年収Top5社など徹底解説!

経済発展には欠かせない素材である鉄ですが、2019年に世界では18億6990万トンの生産されています。そんな鉄を生産する鉄鋼業界は吸収合併や統合が多く、世界的にシェア争いが激しい業界です。本記事では鉄鋼業界の構造、日本企業の紹介、働くことのメリット、デメリットを紹介しています。

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この記事の監修者

キャリアカウンセラー|秋田 拓也

厚生労働省のキャリア形成事業にキャリアコンサルタントとして参画。
大手警備会社にて人事採用担当として7年間従事の後、現職にて延べ200名以上の企業内労働者へキャリアコンサルティングを実施。

■所持資格
国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)

鉄鋼業界とは

経済発展とモノづくりには欠かせないと言ってもいい素材である鉄ですが、日本経済新聞では2019年の世界の粗鋼(鉄)の生産量は18億6990万トンであるという記事が発表されています。

鉄鋼業界は世界市場でも大きな成長を見せている業界です。今回は鉄鋼業界について紹介しています。

鉄鋼業界の基本情報

本見出しでは鉄鋼業界の基本情報を紹介します。鉄鋼業界の構造がどのようなものか、仕事内容はどのようなものなのか理解していきましょう。

目次

鉄鋼業界の構造

鉄鋼業界は原料を仕入れ製造、加工、鉄鋼卸売り、製品、リサイクルまでが鉄鋼業界の構造であり、鉄鋼業界のバリューチェーンと言われています。

原料調達から製造、加工まで一貫している高炉メーカーと言われているメーカーが日本では主流で市場規模が大きくなっています。

鉄鋼業界の仕事内容

ここでは仕事内容を紹介します。まずはどのような仕事があるのか、代表的な4つを箇所書きで紹介後、1つずつ特徴を紹介していきます。

  • 高炉メーカー
  • 電炉メーカー
  • 特殊鋼メーカー
  • 鉄鋼専門商社

高炉メーカーは原料から鉄鋼製品になるまで一貫生産しています。電炉メーカーは鉄くずや鉄のスクラップ材を電気炉で溶かし不純物を取り除いたうえで鉄鋼製品にしています。

特殊鋼メーカーは鉄くず材を溶かし不純物を溶かしさらにマンガンやニッケル、クロムを混ぜて鉄鋼製品にしています。専門商社は鉄鋼製品を自動車メーカーや建築メーカーに卸売りしています。

鉄鋼業界の概況

鉄鋼業界の歴史を振り返ることで、今の現状と課題、今後が見えてきます。本見出しでは鉄鋼業界の歴史、現状、今後について解説します。

鉄鋼業界の歴史

近代の鉄鋼業界の発祥の地はイギリスと言われており、18世紀半ばから産業革命とともに鉄鋼の需要が飛躍的に上がったとされています。

日本で最初の操業は1857年に岩手県で建設された高炉が始まりと言われておりますが、日本で鉄鋼業界を大きく飛躍させたのは、1901年に建設された福岡県にある官営製鉄所になります。

現在では日本製鉄㈱の製鉄所になり、世界遺産にも登録されています。

鉄鋼業界の現状・課題

鉄鋼業界の現状ですが、前述した日本経済新聞の発表では2019年の世界の粗鋼(鉄)の生産量は18億6990万トンであると記載がある記事があります。

その中で9億9634万トンは中国で生産されています。世界の半分以上が中国で生産されていることが分かります。日本ではさらなるグローバル化に対応していくことが課題と言えます。

鉄鋼業界の今後・将来性

鉄鋼業界の今後・将来性は日本国内では需要が伸び悩んでいますが、世界的に見ると市場規模は大きくなっています。

日本経済新聞の記事内に世界の鉄鋼生産量が3年連続で増加していることも載っており、今後も世界市場の成長が期待できます。国際競争は激化すると予想できます。

鉄鋼業界の4大企業〈国内編〉

本見出しでは鉄鋼業界で日本を代表する主要企業4社紹介します。グローバル視点を重視しているため、日本の鉄鋼業界は合併、統合が多い業界だということがわかります。

①日本製鉄

日本製鉄は日本の最大手鉄鋼メーカーです。2012年に「新日本製鉄」と「住友金属」が合併し、「新日鐵住金㈱」として発足後、2019年に「日本製鉄㈱」と商号を変更しています。

基本データ

以下の表は日本製鉄㈱の公式HPおよび有価証券報告書を参考に作成したものです。

売上、従業員数から分かるように規模が大きいです。事業内容は各事業ごとに企業を作り権限を持たせています。

特徴

日本国内で最も規模が大きい鉄鋼業界の高炉メーカーです。船舶や建築産業機械に使われている厚板、建物、トンネルに使われている薄板の生産が多く、鋼管、チタン、ステンレスと幅広く扱っています。

②JFEホールディングス

JFEホールディングスは日本国内2位の高炉メーカーです。JFEは「JAPAN」の「J」、鉄の元素記号「Fe」の「F」、「Engineering」の「E」を取って名前が作られています。

基本データ

以下の表は新日鉄住金の公式HPおよび有価証券報告書を参考に作成したものです。

高炉メーカーで商社機能を持っている企業になります。

特徴

JFEスチールホールディングスは高い技術力を持ち、鉄鋼業界の課題である環境対策に貢献している企業です。

公式HP内にある行動指針で「社会に開かれた企業」、「社会との連携と協調」という言葉から社会とのつながりに力を入れていることが分かります。

③神戸製鋼所

神戸製鋼所はグループブランドに「KOBELCO」という名前を付け、国際ブランドとして名前を使用しています。ここでは神戸製鉄所について紹介します。

基本データ

以下の表は新日鉄住金の公式HPおよび有価証券報告書を参考に作成したものです。

日本製鉄、JFEホールディングスに続く国内3位の高炉メーカーになります。高炉メーカーは国内では3社だけになります。

特徴

神戸製鉄所は素材、機械、電力の3つの事業に力を入れており、複合型企業と言われています。電力事業では1994年に起きた阪神淡路大震災をきっかけに、発電所を建設させ電力の供給を続けて言います。

国内初の内陸火力発電所も栃木県に建設し、電力供給に貢献しています。

④日立金属

日立金属は1956年に日立製作所が全額出資し、日立グループの鉄鋼部門5工場を統合して誕生した会社です。上記3社とは異なり、特殊鋼メーカーとして活動しています。

基本データ

以下の表は新日鉄住金の公式HPおよび有価証券報告書を参考に作成したものです。

2013年に日立グループの日立電線を吸収合併したため、日立グループでは日立製作所に続く2番手の規模となっています。

特徴

紹介した上記3社の高炉メーカーとは別の特殊鋼メーカーになります。特殊鋼メーカーはスクラップ材から副材料を混ぜ、硬さや耐久性を調整できる材料を製造することが出来る特徴があります。

高炉メーカーは量、特殊鋼メーカーは技術力と分けることができます。

鉄鋼業界の主要企業〈世界編〉

本見出しでは世界に目を向け、世界の鉄鋼企業を紹介します。。日本企業がどこに位置しているか見ていきましょう。下記表は世界トップ3の会社名と売上高を表した表になります。

日本企業は世界で見ると日本製鉄の3位になります。1位のアルセロール・ミタルは世界でも圧倒的規模の大きさが分かります。

鉄鋼業界の年収ランキングTop5

本記事では日本国内企業の年収ランキングTop5を紹介しています。求人サイトのキャリコネが公表している記事を参考にしています。

日本国内売上トップの日本製鉄が年収も鉄鋼業界では1位になっています。鉄鋼業界を考えている方はひとつの選ぶ指標として参考にしてください。

鉄鋼業界で働くメリット・デメリット

本見出しでは鉄鋼業界で働くメリットとデメリットを紹介します。各業界を比べて人生設計をしてみましょう。

メリット

まずはメリットを紹介していきます。鉄鋼業界に入るメリットを2つ紹介します。

①|世界需要の拡大

需要があれば仕事がなくなることはないので、世界の需要が大幅に伸びていることが大きなメリットと言えます。主に新興国の需要が伸びていることから分かるように鉄鋼事業は経済の始まりに必要です。

新興国で経済成長を感じながら仕事ができると言ってもいいでしょう。

②|日本経済を支えている

日本の鉄鋼業は技術力が高く、大型化、安全性に優れている「アレスト鋼」と呼ばれる素材や、強度が高く、加工性に優れている「ハイテン鋼」という素材の生産技術が世界的に高いと言われています。

高い技術力が日本経済を支え続けるといえるでしょう。

デメリット

メリットがあればデメリットもあります。鉄鋼業界のデメリットを紹介します。

①|景気動向に左右されやすい

鉄鋼業は需要先の景気に左右されやすい傾向があります。景気が悪ければ、船舶や建物のモノづくりは進められず、素材である鉄は供給が不必要になってきます。

経済的ショックに弱いところは鉄鋼業界のデメリットといえます。

②|シェア争いが激化

鉄鋼業は装置産業ともいわれており、資金があれば技術が無くても容易に参入できる業界です。さらに資金があれば吸収合併も容易に出来るので、装置獲得、シェア獲得を目的に吸収合併が起こっています。

日本国内で需要が減っていることから、海外と国内の需要のギャップ埋めるため、国内では一部操業を止めていると言われています。世界的シェアの争いが大きい業界です。

鉄鋼業界に向いている人・向いていない人

本見出しでは鉄鋼業界が向いている人と向いていない人の特徴を紹介しています。自分が鉄鋼業界に向いているか自己分析をし、参考にしてください。

向いている人の特徴

まずは向いている人の特徴を紹介します。世界で活躍したい人、スケールが大きい仕事をしたい人が向いています。

①|海外勤務を見据えている人

日本では高度経済成長期以降、国内の需要は見込めませんが、世界に目を向けるとアジア諸国を中心に需要が伸びています。グローバル化が必須の業界となるため、海外出張や海外勤務の機会が多くあります。

異なる文化、言葉の壁を越えた海外の人とのチームワークも大切になってきます。

②|規模が大きい仕事をしたい人

鉄はインフラ作りに欠かせない素材です。船舶、橋梁(橋)、鉄道事業のような規模の大きい仕事ができます。海外では需要があるので、売上が数億を超える仕事は多くあると言えます。

向いていない人の特徴

海外展開、チームワークを大切を重要視する人がいる一方で、1人で進めたい、地域に貢献したいことを重要視する人もいるでしょう。ここでは鉄鋼業界に向いていない人の特徴を紹介します。

①|1人で自由に物事を進めたい人

規模の大きさからチームワークが重要と言える鉄鋼業界では、制約に縛られず1人で物事を進めたい人には向いていないでしょう。

今後も合併、統合が進む鉄鋼業界では、営業職、技術職、事務職、どのような職種でもチームワークが重要視されます。

②|国内で働きたい人

国内の需要が低下する鉄鋼業界では海外が苦手という人や、地域密着の仕事をしたい人には向いていないと言えます。幅広い視野と考え方が求められる業界です。

まとめ

本記事では鉄鋼業界について紹介してきました。鉄鋼業の全体像、国内企業の特徴、鉄鋼業界で働くことのメリット、デメリット、鉄鋼業界が向いている人、向いていない人が理解できます。鉄鋼業界は競争力が激しく、規模の大きい業界です。本記事がきっかけに鉄鋼業に興味を持っていただければ幸いです。

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