大学や大学院といった高等教育機関を卒業すると、「学位」が授与されます。学士や修士も、そうした学位の一つです。大学院で学ぶ場合、修士号や博士号を授与されることもありますが、社会に出る際に大きな意味を持ちます。そこで今回は学位の種類をはじめ、学士・修士・博士の違いについて解説します。
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この記事の監修者
キャリアカウンセラー|秋田 拓也
厚生労働省のキャリア形成事業にキャリアコンサルタントとして参画。
大手警備会社にて人事採用担当として7年間従事の後、現職にて延べ200名以上の企業内労働者へキャリアコンサルティングを実施。
■所持資格
国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)
学位には種類がある
小学館のオンライン大辞泉では「学位」について、以下のように説明しています。
学術上、一定の能力または業績を示した者に授与される称号。学士・修士と博士とがある。旧制では博士のみで、文部省の認可を受けて大学が授与していた。
つまり、学位には3種類あるということです。また、大学や大学院を卒業する際に与えられる卒業証書が「学位記」と呼ばれることが増えました。「学位記」とは、学士・修士・博士といった特定の学位を取得したことを証明する書類をさし、教育機関への就職並びに研究・学会で重視されます。3種類の学位については、次章以降で詳述します。
「学士」とは
就活生に最も身近な学位とえば、「学士」です。ここでは「学士」とはどんな学位なのか、英語で表現すると何と呼ばれるのかについて説明します。
「学士」は大学卒に与えられる
「学士」とは、大卒者に与えられる学位です。「学士」を取得するためには、以下の条件を満たす必要があります。
- 卒業要件を満たす単位を取得している
- 卒業論文または卒業試験に合格している
近年は卒業論文を課さない大学も増えており、きちんと4年制大学で卒業単位を取得できれば、誰でも「学士」を得ることができます。短期大学を卒業した場合は、「短期大学士」が授与されます。
「学士」の英語表現
「学士」は英語で「Bachelor」と表現します。英語表現の場合は、学んだ専門分野がわかるように表現されます。実例は、以下の通りです。
- a Bachelor of Arts/文学士
- a Bachelor of Medicine/医学士
- a Bachelor of Science/理学士
英文で履歴書を作成する場合に使用することになる表現なので、覚えておくとよいでしょう。
「修士」とは
大学院に進学した場合には、2種類の学位を得られる可能性があります。ここでは、大学院で取得可能な「修士」とはどんな学位なのかについて、英語表現にも触れながら説明します。
「修士」は大学院の修士課程卒に与えられる
小学館のオンライン大辞泉では「修士」について、以下のように説明しています。
大学の学部の上または独立に設置される機関。学術の理論および応用を教授・研究し、その深奥を究めて文化の進展に寄与することを目的とする。修士課程と博士課程とがある。
大学院とは、大学時代に学んだことをベースに、より専門的で応用的な研究を行う学術機関を意味します。大学院によって学修スタイルは異なりますが、「修士課程」と呼ばれる2年間の「博士課程前期」を修了し、30単位以上を取得したうえで修士論文に合格すると「修士」という学位が授与されます。以下の記事では、大学院の種類や文理の違いについて、わかりやすく解説しています。
「修士」は「マスター」と呼ばれることもあり、新卒採用時には「学士」より、初任給が高くなるのが一般的です。
「修士」の英語表現
「修士」は英語で「Master」と表現します。英文の履歴書に「修士」を記載する場合には、「Master of (研究科・専攻の英語表記)」と書きます。具体例は、以下の通りです。
- Master of Education/教職修士
- Master of Science/理学修士
- Master of Engineering/工学修士
また修士を略して記載する場合の英語表現は、理系・文系で異なります。
- 理系/M.S. in (研究科・専攻の英語表記)
- 文系/M.A. in (研究科・専攻の英語表記)
こうした表現を覚えておくと、英文履歴書を書く際に重宝するはずです。
「博士」とは
大学院進学者が「修士」以外に得られる可能性がある学位に、「博士」があります。「修士」の学位は比較的取得しやすいですが、「博士」はそう簡単にはいきません。ここでは「博士」とはどんな学位なのかについて、英語表現も含めて説明します。
「博士」は大学院博士課程卒に与えられる
「博士」とは、大学院の博士課程後期修了者に授与される学位です。しかし「博士」を授与されるためには、以下の条件をすべて満たす必要があります。
- 2年間の博士課程前期並びに3年間の博士課程後期を修了する
- 博士課程後期で12単位以上を取得する
- 博士の学位論文を提出し、合格している
上2つの条件を満たしていても、博士の学位論文の審査に落ちると「博士」になることはできません。この場合、履歴書上は「博士課程満期退学」となります。
「博士」の英語表現
「博士」は英語で「Doctor」と表現します。英文履歴書に学歴として記載する場合には、「Doctor of (研究科・専攻の英語表記)」または「Doctor of Philosophy in (研究科・専攻の英語表記)」と記載します。具体例は、以下の通りです。
- a Doctor of literature/文学博士
- a Doctor of Pharmacy/薬学博士
- a Doctor of Science/理学博士
また、修士の英語表現と同様に「Ph.D. in (研究科・専攻の英語表記)」と略式表記することもあります。
「修士」への進学を迷っている方へ
文部科学省が発表した「学校基本調査ー令和元年度結果の概要ー」によると、令和2年3月に大学を卒業した学士の11.4%にあたる6万5,355人が大学院に進学しています。年々、大学進学者が増加している状況を考えると、「学士」と「修士」のどちらで就活する方が有利なのか、悩む人もいそうです。
ここでは、修士課程に進学すべきかどうかを悩んでいる人を対象に、「学士」と「修士」それぞれの立場で就活するメリットとデメリットについて説明します。尚、「博士」と呼ばれる博士課程後期修了者については研究職に就く人が多いため、ここでは検討しないこととします。
「学士」で就活する場合
学位の序列で考えると、「博士」「修士」「学士」の順番になります。しかし、それが就活における序列とイコールかというと、一概にそうとは言いきれないようです。ここでは、「学士」で就活する場合のメリットとデメリットについて説明します。
「学士」で就活するメリット
「学士」で就活する場合のメリットとして、以下のものがあげられます。
- 「修士」より「学士」の方が人件費が安いため、採用人数が多い
- 「修士」より2年早く、実務を体験できる
- 早くからお金を稼ぐことができる
就職する企業や職種によっては、社会人になってから大学院に進学するケースも珍しくありません。売り手市場で確実に就職したいなら、「学士」の方が有利といえそうです。
「学士」で就活するデメリット
「学士」で就活する場合のデメリットとして、以下のものがあげられます。
- 「修士」より初任給が安いことが多い
- 研究職などでは、昇進や昇給に差がつくことがある
- 職種によっては、専門知識やスキルが足りないこともある
就職することが目的であれば「修士」より「学士」の方が有利ですが、研究職など専門知識やスキルを求められる職種の場合は、「学士」の方が狭き門になるという現実があります。特に理系で研究職を目指す場合は、十分に検討することをおすすめします。
「修士」で就活する場合
大学院に進学するからには、当然学費がかかります。また、同期の友人より2年も社会に出るのが遅くなります。ここでは「修士」として就活する場合のメリットとデメリットについて、説明します。
「修士」で就活するメリット
「修士」で就活する場合のメリットとして、以下のものがあげられます。
- 「学士」より初任給が高いことが多い
- 専門職種として採用されやすい
- 就職の選択肢が広がる
- 「学士」より生涯年収が多くなる可能性が高い
「修士」は大学院で専門的・応用的研究を行っている分、「学士」より多くの専門知識やスキルを持っているとみなされます。そのため、研究を生かした仕事に就ける可能性が高くなります。
「修士」で就活するデメリット
「修士」で就活する場合のデメリットとして、以下のものがあげられます。
- 就活のための時間を確保しにくい
- 同期生より就職時期が遅れる
- 就職後に「修士」であることから、過大な期待をかけられることも珍しくない
修士課程は2年間しかなく、修士論文に合格することが卒業要件でもあります。そのため、研究と就活を並行して行う必要があり、かなりハードだと言われています。また初任給が高い分、周囲に期待されたり、同じ年の先輩が職場に多いことが、働きにくさにつながるケースも少なくないようです。
まとめ
今回は学位の種類をはじめ、学士・修士・博士の違いについて解説しました。
勉強が好きで、できる環境にあれば、大学院に進学することに意味はあります。しかし就職後に、本当に必要なことを大学院で学ぶという選択肢もあります。大事なのは、その時点で自分が納得のいく選択をすることです。進学や就業という進路選択を決定する際には、自分のキャリアパスを念頭に置くことが大事です。熟考して、後悔のない道を選んでください。