定期的に与えられる有給休暇。仕事の状況などですべての有給休暇を消化できない、ということもあるでしょう。そんな時に気になるのが、有給休暇は繰越できるのかです。有給休暇は労働者に与えられた当然の権利ですが、さまざまなルールがあります。意味やルールを知ることで、繰越できるかどうかも見えてくるでしょう。
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この記事の監修者
キャリアカウンセラー|秋田 拓也
厚生労働省のキャリア形成事業にキャリアコンサルタントとして参画。
大手警備会社にて人事採用担当として7年間従事の後、現職にて延べ200名以上の企業内労働者へキャリアコンサルティングを実施。
■所持資格
国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)
有給休暇の繰越はできるのか
有給休暇は労働基準法により定められている、労働者に与えられた権利の一つです。定められた基準に該当する労働者には、毎年一定の有給休暇が与えられます。毎年与えられますから、当然使わなければ有給休暇はどんどん貯まっていきます。
ですが、仕事の状況などの理由から、有給休暇を取れない人や取らない人も一定数存在しています。使わなかった有給休暇はいったいどうなるのでしょうか。繰越はできるのでしょうか。その点について解説していきます。
結論|有給休暇の繰越は可能
結論から言うと、有給休暇の繰越は可能です。現場の状況や取り組んでいる仕事の内容によっては、与えられたすべての有給休暇を消化できないということは多々あります。そのような場合は、余っている有給休暇を繰り越すことが可能であると定められています。
企業によっては、有給休暇の繰越ができないとしているところもあるようです。ですが、有給休暇の繰越が可能であることは法律で定められています。繰越不可を主張する場合は、違法の可能性があります。
ただし、有給休暇の繰越は無期限で行なえるわけではありません。有給休暇そのものに期限が設けられていますので、その範囲内での繰越が可能です。その点に注意しましょう。繰越の注意点については以下の項目で詳しく解説します。
有給休暇の基本情報
そもそも、有給休暇とはどういうものなのでしょうか。有給休暇の基本的な知識を知っておくと、繰越などで違法行為があった場合に気づきやすくなります。
有給休暇とはどういうものなのか、取得条件はあるのかなどについて詳しく解説します。
有給休暇とは
有給休暇とは、正しくは「年次有給休暇」と言います。「年次」とついているように、1年に1回毎年決められた日数の有給休暇が与えられます。有給休暇は賃金が支払われる休暇のことで、有給休暇を使うと仕事を休んでも勤務時と同じだけの賃金が支払われます。
有給休暇は労働基準法に定められた労働者の権利です。その目的は「労働者が心身共にゆとりのある生活ができることを保障するため」としています。
有給休暇の取得条件
日本の有給休暇には取得条件が設けられています。その条件とは以下の通りです。
- 雇い入れ日から起算して6か月間継続勤務していること
- 全労働日の8割以上出勤または勤務していること
この2つの条件を満たしている労働者のみ雇い入れ日から起算して6か月目は10日間与えられます。その後は、最初の有給休暇を与えられた日から起算して1年ごとに、勤務年数に応じた有給休暇が与えられるようになっています。
有給休暇を繰越する際の注意点
有給休暇は繰越しできるからと言って、安心してはいけません。有給休暇を繰越す場合には、日数や期限などに条件が設けられています。その点を知っておかないと、損をすることになるかもしれませんから注意が必要です。
有給休暇を繰越する場合の注意点を3つご紹介し、それぞれ解説します。
①有給休暇の消滅時効は2年
有給休暇は永久不滅の休暇ではなく、消滅時効2年という期限が設けられています。2年を超えると有給休暇が消化できていなくても、消滅してしまうということです。与えられた有給休暇は2年以内に消化しなければ、損になるでしょう。
ただし、企業によっては有給休暇の消滅時効期限を2年以上に設定しているところもあります。その場合は、企業のルールが適応されます。例えば、有給休暇の消滅期限が3年と設定されている場合は、3年後に有給休暇は消滅します。
反対に有給休暇の消滅期限を2年未満に設定していた企業があったとしましょう。その場合は、違法です。有給休暇の消滅期限は2年と労働基準法で規定されているからです。
②繰越できる最大日数は40日
有給休暇は一番最初に雇い入れ日から起算して半年後に10日間、以降は最初に有給休暇が与えられた日から起算して1年ごとに11日間、12日間と増えていきます。ですが、無制限にすべての日数を繰越できるわけではなく、最大日数は40日と決められています。
これは勤続年数が6.5年以上になると、付与される有給休暇の日数が20日になるからです。有給休暇の消滅時効は2年ですから、繰越される有給休暇の日数は最大で40日という計算になります。ここから、労働基準法で定められている繰越の最大日数は40日とされています。
ただし、企業によっては付与される有給休暇の日数がそれ以上になることもあります。その場合は法律ではなく、その企業のルールが優先されます。
③契約更新時も有給休暇は繰越される
契約更新時も有給休暇は繰越されるという注意点は、正社員にはピンとこないかもしれません。この点に注意する必要があるのは、アルバイトやパートタイマーで勤務している人たちです。
有給休暇は労働基準法に定める条件をクリアしていれば、アルバイトもパートも与えられるべき労働者の権利です。ですが、アルバイトやパートは半年や1年ごとの契約になっていることが多々あります。
これを利用して契約更新と同時に有給休暇の権利が消滅すると言われることがあります。ですが、これは違法です。労働基準法に定められている労働条件を下回る既定の場合は労働基準法が優先され、契約更新時に有給休暇が消滅するということはありません。
有給休暇の繰越に関する疑問
有給休暇の繰越が可能なことはわかりました。ですが、いざ繰越そうと思った場合、さまざまな疑問が湧き上がってくることがあるでしょう。
ここでは、有給休暇の繰越でもっとも多い疑問点を2つピックアップし、それぞれ解説します。
①新規取得と繰越どちらの優先すれば良いのか
有給休暇を繰越した場合、繰越された有給休暇と新規取得の有給休暇の2種類を持っていることになります。この時、必ず繰越された有給休暇を優先して使わなければならない、という決まりはありません。どちらを優先するかは、労働者に委ねられているのです。
仮にある人が、繰越分3日間と新規取得分11日間の合計14日間の有給休暇を持った状態で、有給休暇を3日間の消化申請を会社に行ないました。この時、繰越分3日間を使用を優先して使用するのなら、その旨を会社側に申し出ておく必要があります。
有給休暇は労働者の権利ですから、その管理も労働者に委ねられています。会社によっては自動的に消滅期限の差し迫っている有給休暇から消化してくれるところもあります。ですが、そうではない会社もあるので自分で確認しておきましょう。
②有給休暇の買取はできるのか
有給休暇は原則として買取が禁止されています。これは、有給休暇は本来労働者が心身共に健康な生活を送るための権利だとされているからです。有給休暇の買取は、心身共に健康な生活を送るための権利をはく奪することになるため、禁止されています。
ただし、有給休暇の買取が認められる例外があります。その例外は次の3つです。
- 2年の消滅時効を迎えてなくなってしまった有給休暇の買取
- 退職時に消化していない有給休暇の買取
- 法律で決められている日数以上に与えた有給休暇の買取
これらの買取はすべて「心身共に健康な生活を送るための権利をはく奪する」という点に触れることはありませんから、違法とはなりません。ですが、これらは義務付けられているわけではないため、会社側が買い取らなくても違反にはなりません。
まとめ
有給休暇の繰越について解説しました。有給休暇は本来、労働者が健全に仕事を行なうための大切な権利です。健全に仕事を行なうためには休息を取ることも必要です。
自分の心身の健康を保つことは、社会人として最低限の義務でもあります。あなたの身体はロボットではありません。自分のために、そして仕事の効率を上げるためにも、有給休暇を計画的に取得して心身を休めましょう。