職業倫理とは?業界別の例文や活用方法を徹底解説!

職業倫理とは、その職業に携わっている人たちのモラルや道徳のことを指しています。ただ、その職業倫理が現在では薄れてきているというのが現状です。では、具体的な職業業倫理とはどのようなものなのでしょう。職業別の職業倫理についても解説します。

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この記事の監修者

キャリアカウンセラー|秋田 拓也

厚生労働省のキャリア形成事業にキャリアコンサルタントとして参画。
大手警備会社にて人事採用担当として7年間従事の後、現職にて延べ200名以上の企業内労働者へキャリアコンサルティングを実施。

■所持資格
国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)

職業倫理とは

最近、新聞やニュースなどで職業倫理が欠如した人が多いという話題を耳にすることがあります。会社でそのような話をしている人を見かけたことがある、という人もいるかもしれません。

職業倫理とは具体的にどのような意味なのか、疑問に思っている人もいるでしょう。意味はもちろん、英語表現にも焦点を当てて解説します。

目次

職業倫理の意味

職業倫理の定義は、プロフェッショナルに求められる行動や言動などの倫理とされています。個人だけではなく、会社や企業などのような組織として求められる倫理の場合もあります。

具体的には、仕事をしている中でやっていいことと悪いことの区別を認識した上で、行動したり発言したりすることです。会社の機密事項を社外の人に漏らしてはならない、仕事上で取り扱っている個人情報を他人に漏らしてはならない、などが挙げられます。

仕事をする上で、これらは道徳の観点からも当然と言えるでしょう。ですが、昨今ではこの当然のことができていない人が多いというのが現状です。

職業倫理の英語表現

職業倫理は英語では「Professional ethics」と表現します。「Professional」は専門家や一流の仕事をしている人という意味があります。また「ethics」には倫理という意味があります。直訳すると専門家や一流の仕事をしている人の倫理ということです。

英文表記の場合には、「This job requires high professional ethics.」となり、日本語訳では「この仕事では高い職業倫理が求められる」となります。プロとしての責任感や意識を持つ必要があるという意味です。

職業倫理が必要な理由

最近、特に注目され、重視されている職業倫理。どうして職業倫理が必要だという声が多く上がっているのでしょう。そこには、会社だけでなく、利用者を守るためでもあるのです。

なぜ職業倫理が必要なのかという理由について、詳しく解説します。

理由①|信頼関係を築くため

ビジネスの場面では、何よりお互いの信頼関係が大切です。信頼があるから、仕事を任せたり任せられたりします。すべての会社は自社だけで仕事を回しているわけではありません。多かれ少なかれ他社と何らかの関わりを持って仕事をしています。

職業倫理がなかったなら、自社だけの利益を考えて平気で嘘をつくこともあるでしょう。自社だけが損をするのは誰しも嫌です。嘘にまみれた状態は信頼関係を築くことができず、仕事も立ち行かなくなります。

それぞれの会社が安定して素晴らしい仕事をするという意味でも、信頼関係を築く必要があります。その信頼関係を確かなものにするために、職業倫理は必要なのです。

理由②|消費者を守るため

仕事は会社間同士で成り立っているわけではありません。そこには消費者という第三者が介入します。消費者がサービスを利用してくれるから利益が上がり、会社として成り立っていきます。

もし職業倫理がなければ、会社は平気で嘘をつくでしょう。消費者はその嘘に気づかず、サービスに高い料金を払うことになります。食料品の偽装は最もわかりやすい例と言えます。外国産のものを国産だと偽って高い料金で消費者に売りつけていたという事件です。

このように、職業倫理がなければ消費者は会社や起業に騙されるリスクが高まります。何を信じれば良いのかわからなくなり、大変生きにくい世の中になるでしょう。そのようなリスクから消費者を守るためにも、職業倫理は必要です。

職業別|職業倫理の例

職業倫理は業種や職業によって内容が異なります。食べ物を取り扱う会社と個人情報を取り扱う会社では、その仕事内容が異なりますから、当然職業倫理も異なるのです。

そこで、職業別の職業倫理の例を解説します。もし、その仕事に就きたいと考えている人はぜひ参考にしてください。

職業倫理|医者

  • 医学の知識と技術の習得に生涯取り組む
  • 職業の尊厳と責任を自覚し、人格を高める心がけをする
  • 医療を受ける人々を尊重し、優しい心で接する
  • 医療関係者として互いを尊敬し、協力する
  • 医療を通じて社会の発展に尽くす
  • 営利目的とせずに医業にあたる。

医者の職業倫理の原則基盤は「患者の自律性の尊重」「善行」「公正性」の3つです。これらの上に上記の医者の職業倫理が成り立っています。

「患者の自律性の尊重」とは、医療を受ける人々を尊重し、優しい態度と言葉遣いで説明したり接したりするということです。医者だからと言って横柄な態度や押し付けがましい言動はしてはならないことを意味しています。

「善行」や「公正性」は、常に医療を受ける人のための行動や言動を心掛け、誰に対しても同じ態度と気持ちで接するようにということを意味しています。見た目や肩書などで態度を変えてはならない、ということです。

職業倫理|保育士

  • 子どもの利益の尊重
  • 子どもの発達保障
  • 保護者との協力
  • プライバシー保護
  • 職場でのチームワークと自己評価
  • 利用者の代弁
  • 地域の子育て支援
  • 専門職としての責務

保育士の職業倫理は「子どもの育ちを支える」「保護者の子育てを支える」「子どもと子育てに優しい社会を作る」の3つが基盤です。その上に、上記の職業倫理が成り立っています。

保育士の仕事は子供を育てることです。そのため、子供を中心とした考えや行動が求められています。また、子育てをするのは保護者ですからその保護者とも連携し、最終的には社会全体で子育てができる環境づくりを目指す内容になっています。

職業倫理|カウンセラー

  • 相手を見捨てない
  • 専門的な行動の範囲内で相手の健康や福祉に寄与する
  • 必要以上の相手との個人的な接触は避ける
  • 一人の人間として尊重する
  • 秘密を守る
  • 相手の考えや思いを尊重する
  • 全ての人に公平な気持ちで接する

カウンセラーはクライアントと個人的に接する機会が大変多い職業です。信頼関係を築くことが第一なので、他の職業に比べて親密な関係を避けることは難しいと言えます。

そのため、職業倫理の中でも特に重視されているのが「必要以上の個人的な接触は避ける」と「秘密を守る」の2つです。個人的な秘密を聴く機会が大変多いため、それらを口外してはならないとされています。

「必要以上の個人的な接触」とは、例えば仕事とは無関係な贈り物のやり取りなどです。カウンセラーとクライアントという立場を常に明確にすることが求められています。

職業倫理|看護師

  • 人間の生命、尊厳及び権利を尊重する
  • 対象となるすべての人々に平等に看護を提供する
  • 対象となる人々との信頼関係に基づいて看護を提供する
  • 知る権利や自己決定権を尊重して擁護する
  • 守秘義務を遵守する
  • 対象となる人を危険などから保護する
  • 自己責任と能力を認識したうえで、看護について個人としての責任を持つ
  • 能力の維持や開発に努める
  • 他の看護者や保健医療福祉関係者と協力して看護を提供する
  • 質の高い看護を行なうため、教育や研究などの基準を設定し、実施する
  • 看護学の発展に寄与する
  • 自身の心身の健康の維持や増進に努める
  • 品行を高く維持して信頼を得られるように努める
  • 社会と共に環境問題の責任を共有する
  • よりよい社会づくりに貢献する

看護師は、医療従事者としてだけでなく、高い奉仕の精神も求められています。そのため、職業倫理でも社会全体も含めて、奉仕の精神を持ち続けるようにという内容が盛り込まれています。

職業倫理|教師

  • 日本社会の議題にこたえ、青少年と共に生きる
  • 教育の機会均等のためにたたかう
  • 平和を守る
  • 科学的心理に立った行動をする
  • 教育の自由の侵害を許してはならない
  • 正しい政治を求める
  • 親たちと共に新しい文化をつくる
  • 労働者であることを認識する
  • 生活権を守る
  • 教師同士で団結する

教師は教育を通じて子供たちに道を記す人たちです。平等で平和な道を記して導くことがモットーになっているため、職業倫理には「たたかう」や「平和」といった文言が多くなっています。

職業倫理を仕事で生かす方法

実際の仕事の現場で職業倫理を活かすにはどのようにすれば良いのでしょう。職業倫理自体は難しいことではありません。よって、仕事に対する意識や考えを変えるだけで、職業倫理を活かすことができます。

仕事で職業倫理を活かす具体的な方法を解説します。

「プロ」という自覚を持つ

職業倫理は、プロフェッショナルな人に質の高い行動や言動を求めるものです。そのため、自分がプロであるという自覚を持つことが大切です。「自分はこの仕事のプロである」という自覚を持つと、自然と質の高い行動や言動ができます。

具体的には、言葉を発する前や行動を起こす前に、にその言葉がプロとしてどうなのかということを考えると良いでしょう。自分の一挙手一投足を監視し、それらがプロとしてあるべき行動や言動かを常に考えましょう。

相手の立場に立つ

職業倫理では、自分だけの利益を求めることは良しとしていません。より多くの人たちの利益を考えた行動を取ることが望ましいとされています。そのため、常に多くの人たちのことを考えた行動や言動を取るようにしましょう。

具体的には、相手の立場に立った行動や言動を取るということです。「こんな行動を取ったら相手にどんな影響があるだろう」や「こんなことを言ったら相手はどんな風に感じるだろう」ということをいつも考えましょう。

まとめ

新聞やニュースで昨今賑わせている職業倫理。仕事をする上で当たり前とも言える内容なのですが、それらが失われつつあるというのが現状です。仕事に携わっている人たちは全てその仕事でのプロです。その自覚を持った行動や言動を心掛けることを、職業倫理は求めているのです。プロとしての自覚を持ち、自分自身に責任を持ちましょう。

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