終身雇用・年功序列が崩れた現代、大手企業に就職するよりも、ベンチャー企業で自分を磨きたいと考える就活生も増えているようです。近年はメガベンチャー企業も増えていますが、危ない会社があるのも事実です。そこで今回はベンチャー企業とは何か、危ないかどうかを見極めるポイントを解説します。
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この記事の監修者
キャリアカウンセラー|秋田 拓也
厚生労働省のキャリア形成事業にキャリアコンサルタントとして参画。
大手警備会社にて人事採用担当として7年間従事の後、現職にて延べ200名以上の企業内労働者へキャリアコンサルティングを実施。
■所持資格
国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)
ベンチャー企業とは
ベンチャー企業という言葉は知っていても、正確に説明できる就活生は、それほど多くないはずです。小学館のオンライン大辞泉では、ベンチャー企業の意味を以下のように記載しています。
《ventureは「冒険的な企て」の意》新技術・新事業を開発し、事業として発足させた中小企業。
ベンチャー企業は新興企業と言いかえられ、これまでにない革新的なアイデアに基づき、新たなビジネスを行う会社のことをいいます。また、ベンチャーキャピタルから出資を受けている企業をさすこともあります。
ここではベンチャー企業とスタートアップ企業、中小企業の違いも説明しておきましょう。
スタートアップとの違い
就活生の中には、ベンチャー企業とスタートアップ企業を混同している人も少なくないようです。スタートアップ企業とは、新たなビジネスモデルを事業化することで急成長を遂げている会社をさします。
ベンチャー企業は中小企業というイメージがありますが、急成長を遂げている事業があればスタートアップ企業と見なされるので、会社規模は問いません。
中小企業との違い
中小企業庁の公式サイトにある「中小企業者の定義」は、以下の通りです。
- 製造業その他/資本金の額または出資の総額が3億円以下の会社、もしくは常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人
- 卸売業/資本金の額または出資の総額が1億円以下の会社、もしくは常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人
- 小売業/資本金の額または出資の総額が5千万円以下の会社、もしくは常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人
- サービス業 /資本金の額または出資の総額が5千万円以下の会社、もしくは常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人
ベンチャー企業は、中小企業に含まれます。一般的な中小企業は創業からの歴史が長く、すでに収益のあがるビジネスモデルを持ち、事業に安定性があるものと考えて差し支えないでしょう。
ベンチャー企業が危ないと言われる理由
就活生がベンチャー企業に応募しようとする際、周囲に再考するように促されるケースも珍しくないようです。それは「ベンチャー企業は危ない」という、イメージを持つ人が多いことの表れともいえます。
ここではベンチャー企業が危ないと言われる理由を2つ、紹介します。
理由①|倒産率が高い
2017年3月に日経ビジネスが公開した「『創業20年後の生存率0.3%』を乗り越えるには」という記事の中で、メディカル・データ・ビジョン代表取締役社長である岩崎博之氏は、以下のように語りました。
ベンチャー企業の生存率を示すデータがあります。創業から5年後は15.0%、10年後は6.3%、20年度はなんと0.3%です。非常に厳しい。
この発言に象徴されるように、ベンチャー企業は倒産率が高いという現実があります。ベンチャー企業はアイデアと時代がマッチしていれば急成長を遂げることができますが、それが持続するかどうかは別な問題だからです。
理由②|ブラック企業化するところが多い
ベンチャー企業は中小企業としてスタートするのが一般的なので、上場している大手企業と比べるとコンプライアンスを遵守するという意識に欠けるきらいがあります。また、急成長中のベンチャー企業は、人員と業務量のバランスが崩れるのが珍しくありません。
そのため、長時間労働や休日がとれないなど、ブラック企業化してしまいがちです。中には収入が伴う会社もありますが、それが自分のスキルアップにつながっているとは、断言できないので注意が必要です。
ベンチャー企業が危ないか見分ける方法
近年は「DeNA」や「サイバーエージェント」に代表される、メガベンチャー企業も増えています。そのため、ベンチャー企業を一緒に大企業に育てたいという意気込みをもって、就職を目指す就活生もいることでしょう。しかし中には、タチの悪い会社もあります。
ここでは、応募を検討するベンチャー企業が危ないかどうかを見分ける方法を説明します。以下の項目に当てはまる企業は危ない企業である可能性があります。
①募集職種がわかりにくい
募集要項に書かれている職種名がわかりにくい、あるいはカタカナばかりの時は疑ってみることをおすすめします。
ベンチャー企業は成長過程なので激務味になりがちので、「営業」などわかりやすい職種で募集すると敬遠されることが少なくありません。そのためきつい職種ほど、カタカナで怪しい名称を用いるのです。
②出資先が不明
会社を創業する、あるいは事業を成長させるためには、資金が必要です。ベンチャー企業のホームページをみて、出資先について記載がない場合には注意が必要です。
代表が資産家の子息であれば問題ありませんが、自己資金だけで創業する場合、事業資金がショートする可能性が高くなります。また、出資先が有名どろろであれば安心です。
高利のビジネスローンなどを利用して無理に創業したことで、キャッシュフローが悪化するケースもあるので、出資先はきちんとリサーチしましょう。
③募集人員が多すぎる
ベンチャー企業の現在の在籍者数が20名以下なのに、いきなり100名以上の採用を行うベンチャー企業があります。このように、募集人員が多すぎるベンチャー企業も優良とは考えにくいです。
急成長を遂げていて業務量が増えているから採用するという事情は理解できても、一気に従業員を増やしたことでサービスが低下し、事業が低迷する会社も少なくありません。
④面接してすぐに内定が出る
書類選考通過率が高い、あるいは1~2回の面接ですぐに内定が出る企業も健全とはいえません。自社にマッチした人材かどうかを見極める余裕もないほど、人手不足であると予想できるからです。
採用のサイクルが早い会社は、退職者も後を絶たないものです。社員の退職を前提に大量採用する企業もあると、常に念頭においておくことをおすすめします。
⑤同業他社より圧倒的に給料が高い
同業他社より給料が高いベンチャー企業については、条件をきちんと確かめることが大事です。基本給が低いのに、固定残業制の手当分を加算することで、給料を高く見せるベンチャー企業も珍しくないからです。
また固定残業制であっても、就業規則で定めた残業時間を超過した場合は、会社は従業員に対し残業手当を支払うよう、労働基準法に定められています。しかしベンチャー企業の場合は法令が順守されず、固定残業代だけで長時間労働を強いるところも少なくないのが現状です。
その他
上記の5つ以外にもある、危ないベンチャー企業を見分けるポイントを以下にまとめました。
- 経営者が語る将来への展望が不明瞭
- 事業計画は壮大なのに、進め方を説明できない
- 事業に将来性がない
- 以前より小さなオフィスに移転した
- 中堅あるいはミドル世代の社員が不在
個人が起業する場合はアイデア勝負ができますが、会社を経営するとなると現在の売り上げだけでなく、中長期的に展望があるかを冷静に見極めなければなりません。中長期計画が明確でないベンチャー企業に就職するのは、避けた方が無難です。
【参考】優良ベンチャー企業の特徴
ベンチャー企業が大企業へと成長する事例が増えているのは、優良な企業もあるからに他なりません。そして優良なベンチャー企業には、共通する特徴があります。ここでは、優良ベンチャー企業の特徴を説明します。
特徴①|ベンチャーキャピタルから出資を受けている
優良なベンチャー企業は、アイデアと時代がマッチしており、業界自体が活性化しているものです。現在でいうと、IT業界が成長を続けていることは自明の理です。IT業界に限らず、専門家が今後の成長が期待できると感じた業界には、投資が集まります。
ベンチャー企業の中でも、有名なベンチャーキャピタルから出資を受けているところは、企業価値が高いと判断されています。日本アジア投資(JAIC)やJAFCO、日本ベンチャーキャピタル(NVCC)などのホームページで、出資しているベンチャー企業名を紹介しているので、チェックしてみましょう。
特徴②|社員がイキイキと働いている
ベンチャー企業の面接では、職場の様子を垣間見る機会が多いものです。その際に、社員がイキイキと働いているベンチャー企業は、優良であると考えて問題ありません。
ベンチャー企業で働く人は、仕事に報酬よりやりがいを求めます。また、企業理念や経営者の人となりに惚れ込んで入社するケースも珍しくありません。そのため愛社精神が強く、会社を成長させるために自分のパフォーマンスをあげようという意識をもつ社員が多いのです。
ベンチャー企業が優良かどうかを見極めたいなら、就活を始める前に、インターンシップで職場の雰囲気を体感してみるのもおすすめです。
ベンチャー企業に就職するメリット・デメリット
働き方改革が進む中で、個人が仕事に求めるものがさらに細分化しているようです。近年は「ワークアズライフ」という価値観に、共鳴する若者も増えています。そうした仕事に対する志向性の多様化を考えると、ベンチャー企業に就職するのが向かない人がいるのも事実です。
ここでは、新卒でベンチャー企業に就職するメリットとデメリットについて説明します。
ベンチャー企業に就職するメリット
ベンチャー企業には、大手企業にはない就職するメリットがあります。ここでは、ベンチャー企業に就職するメリットを2つ、紹介します。
①早くから責任のある仕事を任せてもらえる
ベンチャー企業は中小企業が圧倒的に多く、新卒であっても能力があれば責任のある仕事に抜擢されるチャンスが多いです。特に担当する業務への専門スキルがあれば、社長や上司であっても対等に意見を交わせる雰囲気がある会社が多いようです。
アイデアとやる気があれば、若いうちから責任ある仕事を任せてもらえる会社なら、やりがいをもって働けそうです。
②自分の成長スピードをあげられる
急成長中のベンチャー企業では、スペシャリストではなくゼネラリストであることが求められます。自分の核となる専門スキルがメイン業務だったとしても、そこに付随する様々な仕事も合わせて処理しなければなりません。
そうした環境の中で働いていると、自然に自分が成長していきます。また、ベンチャー企業は時代やユーザーのニーズに合わせて臨機応変に対応することが求められるため、成長スピードをあげることにもつながります。
ベンチャー企業に就職するデメリット
やる気のある人には魅力的なベンチャー企業ですが、就職するにあたって検討すべきデメリットがあるのも事実です。ここでは、ベンチャー企業に就職するデメリットを2つ、紹介します。
①給与や福利厚生が不十分な企業も多い
前述した通り、ベンチャー企業の多くは中小企業です。創業間もなく、急成長を遂げている過程ですので、就業規則やコンプライアンスに対する意識が低い会社も少なくありません。さらに事業に先行投資をしているため、給与や福利厚生は大手企業には遠く及ばないのが現状です。
残業手当や休日出勤手当がきちんと支給されない、休日出勤しても代休がとれない、年間休日日数が少ないという声も、よく耳にします。そうしたデメリットを、仕事への意欲だけで乗り越えられるのか、熟考することをおすすめします。
②激務になるケースが多い
急成長を遂げているベンチャー企業は、従業員と業務量のバランスが崩れがちだと前述しました。そのため、自ずと激務になりがちです。収益が予測できないことから、固定残業制を採用しているベンチャー企業も多く、長時間労働になりがちです。
ベンチャー企業に30代までの社員はいても、40~50代のミドル社員が定着しにくいのは、きつい勤務にあると予想されます。自分に耐えられるかどうか、きちんと検討する必要があるでしょう。
ベンチャー企業に向いている人・向いていない人
ベンチャー企業に限らず、大手企業であっても社風に合う人ばかりではありません。しかし、ベンチャー企業の方が向き・不向きが明確になりやすいのです。ここでは、ここでは、ベンチャー企業に向いている人と向いていない人について取り上げます。
ベンチャー企業に向いている人
ベンチャー企業にはメリットだけでなく、デメリットもあることは前述しました。それを踏まえて、ベンチャー企業に向いている人を紹介します。
①好奇心が旺盛な人
ベンチャー企業に向いているのは、好奇心旺盛な人です。ベンチャー企業は、まだ市場に浸透していないアイデアを事業化するというチャレンジを続けています。それを成功させるためには、固定概念に縛られず、何事にも興味・関心をもつ姿勢が不可欠です。
新しいことにチャレンジするのが面白いと感じる就活生には、ベンチャー企業が向いています。
②いつか起業したいと考えている人
いつか起業したいと考えている人も、ベンチャー企業に向いています。ベンチャー企業では、起業するうえで重要な事業計画の立案・運営・収益化を間近で見ることができるからです。
そもそも起業志向の就活生は、安定性や年収より、やりがいを求める傾向が高いです。将来の自分に投資したいと考えているなら、目標とできる経営者がいるベンチャー企業に就職するのがおすすめです。
ベンチャー企業に向いていない人
仕事に対する志向性によっては、ベンチャー企業で力を発揮できない可能性があります。ここでは、ベンチャー企業に向いていない人を紹介します。
①主体的に行動できない人
ベンチャー企業では、革新的な事業に取り組んでいます。そのため、業務の進め方にもマニュアルはありません。そのため、自分で考えて主体的に行動できない人は、組織内で浮いてしまう可能性が高いです。
失敗が怖くて、誰かに指示を求めているようでは、ベンチャー企業で生き残っていけません。祝えたことをこなす方が得な人は、応募を考え直した方がよいでしょう。
②変化を嫌う人
安定志向で変化を嫌う人も、ベンチャー企業に向いているとはいえません。ベンチャー企業がイノベーションを起こすことで、市場やユーザーの意識が変化します。また、商品やサービスが定着したからといってそれが維持できる保証はなく、方針変更を余儀なくされることもあります。
そうした変化に柔軟に対応できない、あるいは同じ状況が続くことを求める人は、ベンチャー企業では苦痛を感じる確率が高いです。避けた方が無難でしょう。
まとめ
今回はベンチャー企業とは何か、就職するリスク、危ないかどうかを見極めるポイントなどについて解説しました。
ベンチャー企業・大手企業問わず、大切なのは自分の仕事への志向性と企業風土がマッチしていることです。自分の志向性がベンチャー企業に合っているなら、就職することに意義はあります。ただし、中には危ないベンチャー企業も含まれているので、見極める目を持ちましょう。