学生でも年金手帳が必要な理由は?知っておきたい学生納付特例制度も解説します!

20歳から60歳未満で日本国内に居住している人は公的年金の加入義務を負い、年金手帳が支給されます。しかし学生は収入がない人が多いため、学生免除制度が設けられています。今回は年金手帳とは何か、いつ届くのか、学生の場合は親が払うのか本人なのかなどについて、様々な観点から解説します。

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この記事の監修者

キャリアカウンセラー|秋田 拓也

厚生労働省のキャリア形成事業にキャリアコンサルタントとして参画。
大手警備会社にて人事採用担当として7年間従事の後、現職にて延べ200名以上の企業内労働者へキャリアコンサルティングを実施。

■所持資格
国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)

年金手帳とは何か・いつ届くのか

日本では学生であっても20歳になると、国民年金や厚生年金といった公的年金への加入が義務づけられています。そのため学生であっても原則的には、年金保険料を支払わなければなりません。ここでは、年金手帳とは何かについて説明します。

目次

年金手帳に記載されているもの

年金手帳とは、公的年金の被保険者であることを示すものです。そのため年金手帳には、以下の内容が記載されています。

  • 氏名
  • 生年月日
  • 基礎年金番号
  • 厚生年金または国民年金に加入した期間と納付記録

年金手帳にある納付記録に基づいて将来、年金が支給されます。

年金手帳が届く時期

日本年金機構の公式サイトには、「20歳になったら、どのような手続きが必要ですか」というページに、以下の記載があります。

20歳になってから、概ね2週間以内に「国民年金加入のお知らせ」「国民年金保険料納付書」「個組年金の加入と保育料のご案内」、保険料の納付猶予制度と学生納付特例制度の申請書、返信用封筒が送付されます。「年金手帳」は別途送付します。

つまり、20歳の誕生月に届いた「国民年金被保険者関係届書」に必要事項を記入して返送すると、年金手帳が届きます。

しかし、厚生年金または共済組合に加入している人や、障害・遺族年金を受給している人には送られません。

未成年は基本的には年金手帳を持っていない

年金手帳は20歳になり、国民年金に加入したタイミングで届きます。そのため、20歳未満の未成年は、基本的にはこれまで国民年金に加入したことがなく、年金手帳は持っていません。

ただし、未成年であっても働いたことがある(厚生年金に加入したことがある)場合は、年金手帳を持っているはずです。

未成年で、初めて厚生年金に加入して働く場合は、入社手続きの際に「基礎年金番号を知りたいので年金手帳を提出してください」と要求されます。このとき、厚生年金の加入が初めて(厚生年金に加入する雇用形態で働いたことがない)なのであれば、「年金加入が初めてのため、年金手帳は持っていません」と伝えれば問題ありません。

会社は、基礎年金番号なしで手続きをし、手続きが完了したら年金手帳が手元に届きます。

年金手帳の色

現在使われている年金手帳の色は、「茶色」「オレンジ」「青」の3色です。1997年1月以降は青の年金手帳が支給されていますが、それ以前の加入者は、オレンジまたは茶色となります。色が違っても、使用目的は変わりません。

公務員の場合年金手帳は発行されない

公務員には年金手帳は発行されません。もし未成年者のうちに公務員になった場合には、20歳になると「基礎年金番号通知書」が届き、そこに記載された基礎年金番号によって年金保険料納付記録が管理されます。

年金手帳の使用場面

年金手帳の使用場面は、以下の通りです。

  • 入社時・退社時・転職時
  • 第三号被保険者への加入時または脱退時
  • 変更・申請・脱退など年金に関する届け出をする時
  • 年金の受給手続きまたは相談する時
  • ねんきんネットへ登録する時
  • 個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入手続きを行う時

また新卒採用された会社に入社し、厚生年金に加入する際にも、年金手帳を提出しなければなりません。

【学生の場合】年金の支払いに関する3つのパターン

20歳になっても大学生という人が、数多くいます。アルバイトをしていたとしても、毎月の国民年金保険料を支払うのは簡単なことではありません。

ここでは、学生が年金の支払いをする際の3つのパターンについて説明します。

パターン①|自分で支払う

令和2年度の国民年金保険料は、月額1万6,540円となっています。

決して支払えない額ではないので、アルバイトをしている学生の中には、毎月自分で支払っている人もいます。納付書による振り込みや銀行引き落としなどの方法があります。

しかし、国民年金保険料の支払いが遅れると追徴金が加算されます。また滞納を続けると、財産を差し押さえられる可能性が高いので、払い続けられるかどうかを検討する必要があります。

パターン②|親が支払う

20歳になった学生の国民年金保険料を、親が支払うケースも少なくありません。親が子供の国民健康保険料を支払った場合、所得税控除の対象となるので、所得税や住民税が安くなるというメリットもあります。

パターン③|学生納付特例制度を利用し猶予してもらう

20歳の学生で本人も親も支払いができない場合は、「学生納付特例制度」を活用することをおすすめします。

学生納付特例制度を利用することで、国民献金保険料の支払いを猶予してもらうことができます。

学生納付特例制度とは

学生納付特例制度とは、20歳以上の学生が大学・短期大学・専門学校等に在籍している間は、国民年金保険料が猶予されるという特例制度です。

平成31年3月に厚生労働省年金局が発表した「平成29年度国民年金被保険者実態調査 結果の概要」によると、学生納付特例制度の利用者は65.3%にのぼります。

ちなみに学生であっても国民年金保険料を納付している人が、23.0%います。

対象者

学生納付特例制度の対象となるのは20歳以上で、大学・大学院・短期大学・専門学校・高専といった国が定めた学校に通っている学生です。

さらに学生本人の所得が、118万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料より低いことが条件です。

申請方法・必要なもの

学生納付特例制度の申請ができるのは、「居住する地方自治体の国民年金担当窓口」「年金事務所」「在学中の学校」の3つです。申請方法は、以下の通りです。

  • 学生納付特例制度の申請書に必要事項を記入する
  • 住民登録している市区町村の国民年金窓口に申請書を提出する
  • 審査が通ると「承認通知書」が届く

また、申請の際には以下のものを持参する必要があります。

  • 年金手帳または基礎年金番号通知書
  • 学生証

学生納付特例制度は、年度ごとに申請が必要です。しかし国民年金保険料が未納になっている期間が2年1ヶ月以内なら、遡って申請できます。

学生納付特例制度を利用するメリット

学生納付特例制度を利用すると、以下のメリットがあります。

  • 学生本人が障害をおった場合、障害年金を受給できる
  • 学生本人が死亡した際に、遺族が遺族年金を受け取れる
  • 学生納付特例期間も老齢基礎年金の受給資格期間に含まれる

いざという時の備えになるので、申請しておくことをおすすめします。

学生納付特例制度を利用した際の注意点

学生納付特例制度は、国民年金保険料の支払いを猶予するもので、その分は後で納付しなければなりません。免除ではないことを念頭に置く必要があります。

在籍する学校等で手続きをする場合は、きちんと申請されているかを確認しておくと安心です。コメントのように、申請がきちんとできていないと、滞納扱いになるので注意が必要です。

【学生の場合】年金手帳が手元に届かない時の3つの可能性

学生が就職にあたり年金手帳を探してみると、見つからないケースが多いようです。その場合、3つの可能性が考えられます。ここでは、年金手帳が手元にない時に多くみられるケースを紹介します。

実家にある

進学した際に住民票を異動していない学生は、「国民年金被保険者関係届書」が実家に届きます。親が代筆して返送すると、年金手帳は実家に届きます。

親元を離れている学生は、一度実家に問い合わせてみましょう。

親や自分以外の家族が管理している

無くしものが多い学生の中には、重要書類を親や家族に預けている人もいることでしょう。その場合は、無意識に年金手帳も預けている可能性が高いです。

預けた家族に確認してみましょう。

家の中で行方不明になっている

片付けが苦手な学生の場合は、年金手帳が家の中で行方不明になっている可能性が高いです。郵便物の封を切らずに、積み上げている学生もいると聞きます。

家のあらゆるところを探してみましょう。

年金手帳を紛失した時に再発行する方法

万が一、年金手帳を紛失してしまっても、再発行してもらうことはできます。ここでは、年金手帳を紛失した時に再発行する方法を説明します。

手続き先

年金手帳を再発行するためには、原則的に年金事務所で手続きしなければなりません。しかし学生の場合は、市役所での手続きが可能です。

また手続きは学生本人だけでなく、以下の法定代理人が代行できます。

  • 社会保険労務士または社会保険労務士の代理人
  • 法定代理人(法定代理人であることがわかる書類の持参が必須)
  • 事業主または事業主の代理の事務員(事業主を通じて申請書を提出された場合)

年金手帳再交付申請書は窓口で用意されていますが、日本年金機構の公式サイトからダウンロードすることも可能です。

手続きに必要な書類・持ち物

日本年金機構の公式サイトにある「年金手帳再発行手続き」によると、申請手続きの際には以下のものが必要です。

  • 年金手帳再交付申請書
  • マイナンバーまたは基礎年金番号がわかるもの
  • 身分証明書
  • 印鑑

身分証明書はマイナンバーカードをはじめ、運転免許証・住民基本台帳カード・パスポート・身体障害者手帳・精神障害者保健福祉手帳・療育手帳・特別永住者証明書・在留カードといった顔写真がついているものであれは、1点でかまいません。

ない場合は健康保険証や介護保険証、口座通帳、キャッシュカード、印鑑登録証明書、学生証のうち2点以上が必要です。

家族が申請を代行する場合には、学生本人の委任状と代行者の身分証明書が必要となります。

年金手帳を再発行する時の注意点

年金手帳を再発行した場合、後日郵送されます。しかし緊急性が高い時には、即日交付も可能です。

その場合は、申請書類と本人確認できる身分証明等を年金事務所の窓口に提出し、当日交付をお願いしましょう。

まとめ

今回は年金手帳とは何か、いつ届くのか、学生の場合は親が払うのか本人なのかなどについて解説しました。

学生にとって自分の老後はイメージしにくいでしょうが、社会のセーフティーネットとして年金保険料を支払う義務はあります。納付が難しい場合は学生納付特例制度を申請し、将来に備えることをおすすめします。

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