残業50時間の立ち位置と割増残業代、うつをふせぐための方法を徹底解説!

残業は多ければ多いほど、心身に悪影響を与えます。災害労働認定となるいわゆる「過労死」ラインは80時間となっています。では50時間では大丈夫なのかといえばそうではありません。日本の平均残業時間は47時間といわれているので十分危険ラインです。ここでは残業50時間の現状・問題点を解説して行きます。

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この記事の監修者

キャリアカウンセラー|秋田 拓也

厚生労働省のキャリア形成事業にキャリアコンサルタントとして参画。
大手警備会社にて人事採用担当として7年間従事の後、現職にて延べ200名以上の企業内労働者へキャリアコンサルティングを実施。

■所持資格
国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)

残業50時間の立ち位置

私がいた業界では残業が当たり前で、早くて21時、やや遅くて23時という平均60~70時間の残業を体験してまいりました。残業50時間の実情はどんなものか考察します。

目次

①20~30代では平均的な残業時間

やはり20代~30代の残業時間が全年齢層の中では1番多く40代になってくると徐々に減ってきます。その上で、20代~30代の平均残業時間は約47時間となっています。

これで解ることは、働き盛りの20代~30代は当然残業時間は多いが、50時間程度が平均的な残業時間ということになります。

20代は自分を成長させるために残業をし、30代は現場を引っ張るキープレーヤーとして残業している姿が浮かんできます。

参考出典:openwork 働きがい研究所

②残業の上限とされる45時間を超えている

厚生労働省が働き方改革の一環として、労働基準法が改定され、2019年4月以降、残業時間の上限は月45時間、年360時間と定め、違反すると罰則規定もあります。

そして全国の平均残業時間は47時間といわれており、50時間はやはり過剰労働です。

③過労死ラインと呼ばれる月80時間の残業より若干少ない程度

厚生労働省が平成13年に定めた過労死認定基準として、2~6ヶ月間で平均80時間を越える残業をしている場合、健康障害と長時間労働の因果関係を認めやすい目安となります。

これは20日勤務として1日平均4時間の残業時間となります。

④1日のスケジュールを考えるとハードだと分かる

50時間となりますと1日2.5時間換算となりますので決して少ない数字とはいえません。終業時刻が17時として19時半、終業後30分休憩が定められていると20時となります。

都内では通勤時間も長くなり、1時間~2時間は当たり前です。そうなると帰宅時間は22時になります。朝も始業時間が9時の場合、7時には出掛けます。いかに自分の時間が取れないことが容易に想像できます。

⑤みなし残業制度と残業代支給では待遇がかなり異なる

みなし残業とはあらかじめ給料に残業代が含まれている労働形態のことです。みなし残業代が30時間までと決められている場合、残りの20時間分は含まれません。反対に30時間に達していなくても支給されます。

本来、週40時間、1日8時間の法定内労働を超えて働くことを残業と定義され、それに発生する賃金は、1時間辺りの賃金の25%増しで支払うのが通常の残業代となります。当然、超過しないと支給されません。

このように同じ残業50時間でも、残業代支払いの形態で社員に対する待遇の良し悪しが決まってきます。

残業50時間が違法となる3つのケース

残業月50時間は違法となるケースがあります。違法性があると判断するためには知っておかないといけないことがあります。

①そもそも36協定が締結されていない

36(サブロク)協定とは、労働基準法第36条に規定されており、労働者に法定時間を超えて残業させる場合は、前もって労働組合または労働者の代表と残業させる旨の協定を書面で締結することを言います。

仮に36協定が締結されず労働基準監督署に届出を怠って従業員に時間外労働させた場合は労働基準法違反となり、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられてしまいます。

②残業代が適切に支払われていない

会社独自のルールである就業規則を盾に残業代を支払わないという場合があります。しかしそれはそもそも労働基準法第92条で労働基準法は就業規則より優先すべしと定められていますので、違法となります。

③残業50時間の月が年6回を超える

36協定で労働時間の締結がされますが、突発的なトラブル等やむを得ず規定された労働時間を1ヶ月50時間を超えて労働しなければならない場合、特別条項を設けることができます。

ただし、その特別事項は全体として1年の半分を超えないことが見込まれている必要があります。

出典: 時間外労働・休日労働に関する協定届 労使協定締結と届出の手引

残業50時間で残業代が支払われない場合の対処法

もし自分の残業代が支払われていないとわかった場合はどう対処すればいいのでしょうか。用意するものや手順などを紹介していきます。

支払われるべき残業代を計算する

残業代は所定賃金から除外賃金(家族手当・通勤手当その他厚生労働省令で定める賃金)を差し引いたものが基礎賃金となります。

それだけでは残業代の割増料金の計算ができず、就業規則にある所定労働時間調べ1時間当りの基礎賃金を算出します。時間外労働賃金は基礎賃金に1.25を掛けます。

1時間当りの基礎賃金が1000円だった場合、時間外労働が3時間だった場合は、1000円×1.25×3時間=3750円がを割増賃金額です。

未払いの休日手当は、先ほど算出した基礎賃金に1.35を掛けた割増賃金で計算してください。

支払われるべき残業代を請求する

未払い残業代を請求する際は証拠が必要になります。残業代を請求するときに集めておきたい証拠を紹介します。

①勤務記録などの証拠を残しておく

出勤していたことを証明するもの。タイムカード・勤怠記録・パソコンのログインログオフ記録・社内IDカードの記録・業務上の送信メール・業務日報・交通系ICカード・妻への帰宅を伝えるLINEなどです。

さらに、給与明細書・源泉徴収票・雇用契約書(労働条件通知書)なども未払い賃金額の計算のために必要です。さらに就業規則の写しでも残業代の計算方法が記載されている場合があります。

②弁護士に依頼するのが無難

もしも手元に上記のような証拠がない場合は、会社側に証拠の開示請求ができます。会社には労働関係の重要書類は3年間保存しなければならない義務があります。

しかし、個人で請求しても会社が任意で開示しない場合があります。その時は速やかに弁護士に依頼し、未払い賃金請求訴訟の準備として裁判所に証拠の保全命令を申し立てができます。

弁護士に依頼しても必ず裁判になるわけではありません。弁護士が出ることによって会社も交渉に応じることが多くなり、この段階で解決することがほとんどです。ちなみに請求できる時効は2年です。

残業50時間がどうしても辛い場合の対処法

残業時間が増えれば増えるほど、心身とも疲れてきます。過労によって引き起こされる危険な症状のサインを見逃さないようにしないといけません。

①心身の限界のサインを見逃さない

下記の記事には心身の限界になると出てくる症状が書かれています。心疾患や脳疾患などの重病に陥る症状、うつ病が代表される精神の疾患、さらにはそれらの症状が原因で引き起こされる事故など様々です。

どれも命の危険にさらされるのはもちろん、例え命が助かっても後遺症に悩まされる可能性が高くなりますので、無理をして働き続けている方には是非読んでいただき、回避してください。

記事に飛ぶ

②労働基準監督署に相談する

労働基準監督署は労働基準法に違反した会社を取り締まることができます。当然、違法な残業時間に対しても相談できます。しかし、会社数に対して人員が少ないため、より違法性の高い問題を優先します。

残業時間月50時間だと、異常な残業時間とは一概に言えませんので、労働基準監督署に相談はできても実際に動いてくれるかどうかはあまり期待しないほうがいいと思います。

③甘えであると思わずに転職してもよい

残業時間月50時間で今の職場を離れ、転職するのは甘えだと思わないでください。精神・体の限界点はは人それぞれです。自分がこれ以上耐えられないと思った時が限界なのです。受け入れる勇気を持ちましょう。

まとめ

残業50時間でもきっちり残業代が支給され、心も体も問題なく働けているなら20代・30代でしたら乗り切れるかもしれません。しかし、会社の一方的な都合で働き続けるのは辛いことです。働き方を会社任せにせず、労働者自ら正しい知識を身につけて健康的に働きましょう。

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