特許審査官は、学生にとっては馴染みの薄い職業であるため激務なのか気になる方も多いのではないでしょうか。この記事では、特許審査官が激務と言われる噂に迫るため、まず特許審査官を簡潔にご紹介します。そして、特許審査官が激務と言われる理由や仕事のいいところについてもお伝えします。
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この記事の監修者
キャリアカウンセラー|秋田 拓也
厚生労働省のキャリア形成事業にキャリアコンサルタントとして参画。
大手警備会社にて人事採用担当として7年間従事の後、現職にて延べ200名以上の企業内労働者へキャリアコンサルティングを実施。
■所持資格
国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)
特許審査官とは
特許審査官とは、主に以下の仕事を行う特許庁の職員であり国家公務員に分類されます。
- 特許出願
- 意匠登録出願
- 商標登録出願
日本の特許法は、特許出願の審査は審査官のみが行うことができると規定しており、特許審査官は弁護士や公認会計士のように独占的業務を行っています。
特許審査官になる方法
特許審査官になる方法は、以下4つの手順となります。
- 国家公務員試験に合格し特許庁に入庁
- 特許審査官補となる
- 4年間、特許審査管補として実務経験を積む
- 特許審査官に昇格する
特許審査官は、特許庁の国家公務員試験に合格しなければなりません。そして、特許審査官補として4年間働くことで、特許審査官になれるのです。
特許審査官の仕事の進め方
特許審査官の仕事の進め方は、以下の流れとなります。
- 特許出願の内容を理解し、既存の技術で類似の物がないかを探す(サーチ)
- 類似技術が無ければ特許とし、あれば出願者にその旨を通知する
- 通知に対する出願者の反論や補正の結果を考慮し、特許とするか拒絶するかを判断する
特許審査官は、業務の中でサーチに多くの時間を割き、出願内容が特許に値するか否かを判断します。
特許審査官が激務と言われる理由
特許審査官は、出願されたものが特許として認められるか否かを判断する仕事ですが、なぜ激務だと言われるのでしょうか。
本見出しでは、特許審査官が激務だと言われる理由を3つご紹介します。
理由①|適切な資料を見つけるのが至難の業
特許審査官が激務だと言われる1つ目の理由は、適切な資料を見つけるのが至難の業だからです。
上述の通り、特許審査官は新たに特許申請をされたものが、既存の技術で類似しているかし膨大な資料をサーチして判断をします。
サーチでは、特許に関する様々な文献や検索データベースを活用しますが、適切な資料をスムーズに見つけられるケースは限られています。サーチをしても見つからないケースも多く、業務が長時間に渡ります。
理由②|出願特許に対して予備知識がないことも多い
特許審査官が激務だと言われる2つ目の理由は、出願特許に対して予備知識がないことも多いからです。
一般的に、特許出願されるものはどれも専門性の塊と言えるようなものばかりで、当然ながら特許審査官がそれらに詳しくないこともあります。
そのため、特許審査官はサーチをしますが知らないことを探す場合には、膨大な時間がかかります。
理由③|人手も足りていない
特許審査官が激務だと言われる3つ目の理由は、人手も足りていないからです。特許審査官になるには、国家公務員試験と4年間の実習をクリアしなければなりません。
毎年、数多くの学生が国家公務員になることを目指していますが、その難易度は地方公務員と比較しても遥かに高く狭き門であると言えます。
そして、晴れて特許庁に入庁しても4年間の実習に耐えられず辞めてしまう人もいます。特許審査官は人手不足の状態であり、激務の仕事だと言われています。
特許審査官で特に激務なのは「サーチ」
特許審査官の業務において、特に激務なのが「サーチ」です。サーチとは、出願内容と既存の技術で類似性があるかないかを探すことです。
特許庁には、既存の特許公報、技術系の本・雑誌や文献検索のデータベースがあります。これらを駆使してサーチをしますが、上記で述べた理由により激務と言われます。
特許審査官は激務な一方、いいところもある
特許審査官は、激務である一方でいいところもあります。大変な仕事でも、やりがいを感じることができれば続けていこうと思えるでしょう。
本見出しでは、特許審査官のいいところを4つ紹介します。特許審査官が激務だと、マイナスなイメージをお持ちの方は、プラスのイメージも持ってみてはいかがでしょうか。
①安定と高い年収を両立できる
特許審査官のいいところの1つ目は、安定と高い収入を両立できる点です。特許審査官は、国家公務員であるため年収は民間企業や地方公務員よりもはるかに高くなります。
新卒での年収は250万円から300万円程度ですが、特許審査官は500万円から600万円程です。また、公務員のため景気の動向に左右されにくく安定した仕事ともいえます。
②知的好奇心が満たされる
特許審査官のいいところの2つ目は、知的好奇心が満たされる点です。特許審査官になる人の多くは、東大理系院卒をはじめとする理系大学院を卒業した人が多数です。
もともと、研究やリサーチが得意で好きな人が多いので、特許審査官の仕事を通じて知的好奇心が満たされます。日々、新たな技術や法律を知り仕事のやりがいと感じることができます。
③7年務めると弁理士資格を自動取得できる
特許審査官のいいところの3つ目は、7年務めると便利士資格を自動取得できる点です。特許審査官補は、4年間の実習を積むと特許審査官になれますが、7年で弁理士にもなれます。
弁理士とは、弁護士や行政書士と同様に法律の国家資格であり、独立して業務をすることも可能な資格です。特許審査官として7年間働くと、弁理士資格も取れるメリットがあります。
④キャリアの選択肢も広い
特許審査官のいいところの4つ目は、キャリアの選択肢も広い点です。特許審査官は、日々出願される幅広い業界の特許をサーチするため、様々な業界を深く知ることができます。
また、技術的な知識に加えて特許法を中心とする法律の知識も身につきます。7年務めれば弁理士となれますが、それをステップに弁護士になる方もいます。
特許審査官は、転職を検討した場合でもあらゆるキャリア選択ができるというメリットがあります。
特許審査官をホワイトに感じる高学歴も多い
特許審査官の中には、仕事をホワイトに感じる高学歴の人も多くいます。特許審査官は、東大理系院卒をはじめとする超高学歴集団です。
研究やリサーチが好きで得意だけれども、社会と接点のある仕事をしたいと考えて特許審査官になる人も大勢います。そのため、彼らにとって特許審査官はまさに理想の仕事なのです。
まとめ
特許審査官は、出願内容が既存の技術で類似していないかサーチして特許認定をするしごとだとわかりました。
膨大な時間をサーチに使用するため激務ではありますが、研究やリサーチが得意な方は特許審査官を検討してみてはいかがでしょうか。