公務員と聞くと、文系職種をイメージする就活生が多いことでしょう。技術系職種や研究所員という理系職はあるのですが、募集が少ないのが現実です。そのため、理系学生が公務員の文系職種を目指すケースも少なくありません。そこで今回は、理系学生が公務員就職を果たす方法について解説します。
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この記事の監修者
キャリアカウンセラー|秋田 拓也
厚生労働省のキャリア形成事業にキャリアコンサルタントとして参画。
大手警備会社にて人事採用担当として7年間従事の後、現職にて延べ200名以上の企業内労働者へキャリアコンサルティングを実施。
■所持資格
国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)
結論|理系でも公務員になれる
理系学生が公務員を目指す際には、文系職・技術職の両方を目指すことができます。これは、国家公務員でも地方公務員でも変わりません。
そう考えると、理系学生の方が応募可能な職種が多いので、有利といえそうです。ただし、採用試験の内容は異なることを念頭に置いて、準備する必要があります。
理系の知識を生かした技術系公務員を目指す
公務員として、理系の専門性を生かす道は数多く用意されています。例えば、技術系の国家総合職には以下の6つの科目が設けられています。
- 工学
- 数理科学・物理・地球科学
- 化学・生物・薬学
- 農薬化学・水産
- 農業農村工学
- 森林・自然環境
このような科目を受験し、合格をすれば公務員になる道がひらけます。文系とは違って専門性があるので、試験合格の時点である程度省庁が絞られるというのはメリットかもしれません。
理系から離れて通常の公務員を目指す
理系であっても、文系の学生が受験する通常の公務員を目指すことができます。試験科目は行政・法律・経済といったように文系よりの内容になっていますが、理系の勉強と並行して試験対策を進め、合格できれば文系の公務員になることが可能です。
詳しくは後述しているので、ぜひ参考にしてください。
理系公務員の4つの種類と仕事内容
大学で学んだことを生かして、理系公務員になりたいと考えた場合、応募可能な職種は4つに大別されます。そして職種によって、採用試験の進み方も異なるのです。
ここでは理系公務員の種類と就職までの道のり、仕事内容について詳述します。
①国家総合職(理系区分)
国家総合職とは、中央省庁や出先機関で働く仕事です。将来の幹部候補生として、採用されます。理系区分であっても、キャリア官僚を目指す職種であることに変わりはありません。
就職までの道のり
就職決定までのプロセスは、以下の通りです。
- 国家公務員試験・技術系(理系区分)に合格する
- 各省庁の採用試験に合格する
国家公務員試験・技術系(理系区分)の試験科目は、以下の6つです。
- 工学
- 数理科学・物理・地球科学
- 化学・生物・薬学
- 農薬化学・水産
- 農業農村工学
- 森林・自然環境
建築・土木系は「国土交通省」、化学系は「環境省」、数理科学系は「総務省」を目指す傾向にあります。総合職の府省別採用予定人数一覧(2019年度)では試験区分ごとにどの省庁からの採用があるか確認できるので、参考にしてください。
仕事内容
国家公務員総合職(理系区分)の仕事内容は、所属する省庁によって異なります。
- 国土交通省ではインフラ整備に関わる
- 環境省では大気汚染や水質汚濁を防ぐ制度を考える
- 総務省では様々な統計調査の指揮を執る
共通しているのは、理系の知識を生かして技術的な観点で政策を検討し、実現する点です。
②国家一般職
国家一般職とは、国家総合職とは異なり、1つの分野の専門性を高めていく職種になります。以下の見出しでは、就職までの道のりと仕事内容の2点を紹介します。
就職までの道のり
技術系の国家一般職になるために必要な手順は以下の通りです。
- 国家公務員採用一般職試験(大卒程度試験)に合格する
- 官庁訪問を行う
- 2次試験(面接)に合格する
理系の場合、一般職試験(大卒程度試験)には、以下の9つの科目が用意されています。
- 電気電子情報
- 機械
- 土木
- 建築
- 物理
- 化学
- 農薬
- 農業農村工学
- 林学
試験合格後に官庁訪問を行って内定を目指すこととなりますが、理系の場合は専門性が尊重されるので、どの省庁からも内定をもらえる訳ではありません。
平成30年度の府省別採用予定期間一覧では、試験科目ごとに各省庁の採用予定人数が細かく記載されています。表内の「※」の部分は文系とまとめて採用される形なので、専門性を生かしたい場合、試験区分の列に人数が書かれている省庁を希望すると良いでしょう。
仕事内容
国家一般職(技術系)の仕事内容は省庁によって異なりますが、以下の2つがメインの業務になります。
- 地方に配属されて、その地域の設備の保全や整備を担う
- 本省に配属されて、全国的な計画の策定を支えたり、各地域に出向いて状況を確認したりする
異動によって両方を経験する可能性もありますが、前者は地域のために尽くすやりがいが、後者は総合職をサポートしながらスケールの大きな仕事に携わるやりがいがあります。
③国家専門職
国家専門職とは、行政機関の中でも特定の分野で働く仕事を意味します。国家専門職には、以下のものがあります。
- 国税専門官
- 労働基準監督官
- 財務専門官
- 外務省専門職員
- 刑務官
- 入国警備官
- 皇宮護衛官
- 食品衛生監視員
- 海上保安官
- 航空管制官
これらの職種は、行政機関以外で働くことになります。
特に国税専門官、労働基準監督官は以下の記事で詳しく解説しています。仕事内容や激務かどうかが気になる方はぜひご覧ください。
就職までの道のり
国家専門職に就くためには、専門職試験に合格する必要があります。国家公務員の中でもスペシャリストとして活躍する仕事になるため、職種ごとに採用試験が行われます。
自分が得意なこと、あるいは目指したい職種について熟考したうえで応募する必要があります。
仕事内容
国家専門職の仕事内容は、職種によって異なります。そのため、応募前にそれぞれの仕事内容について、リサーチすることが必須です。
あえて共通点を探すとすれば、国家専門職の仕事はすべて、国民の生活や安全に関わるものだということです。そのため、採用後の研修制度も充実していると評判です。
④地方上級(技術系)
地方上級公務員とは、地方公務員試験の中でも大卒程度の学力が必要な職種です。地方上級の中にも、理系を対象とした技術系募集があります。
理系で学んだ専門知識を生かしながら、地方産業の発展並びに地域住民の安全に関わる、色々な研究を行う仕事です。
就職までの道のり
地方上級(技術系)に就くためには、地方公務員試験に合格しなければなりません。しかし地方上級(技術系)は国家公務員(理系区分)のように、毎年定期採用があるわけではないのです。
空きができた時だけ募集が行われますので、こまめな情報収集が必要です。
仕事内容
地方上級(技術系)の専門分野には、以下のものがあります。
- 土木・建築
- 電気
- 機械
- 化学
- 農業
各自治体にある土木課・道路課・河川課・水道局・都市整備局など、専門により配属先も様々です。専門性の高い業務のみならず、幹部として関係各所との調整なども担当します。
⑤省庁に属する研究機関
国家公務員の中には、各省庁に所属する研究機関に勤める研究職もあります。「国の行政機関・研究機関の一覧」によると、現在は30機関あります。
就職までの道のり
省庁に属する研究機関で研究職として働くためには、各機関で行われる採用試験に合格する必要があります。
一般的な採用ルートとしては、国家公務員総合職試験に合格したうえで、各研究機関の採用試験を受けます。
仕事内容
各機関の研究職として採用された場合、研究する内容は幅広く、一概にはいえません。自分が何を研究したいのかで、応募する研究機関が変わるということです。
理系公務員は倍率が低いが採用人数も少ない
「国家公務員の採用に関する概要」によると、2019年度の採用予定人数が数理科学・物理・地球科学で約25名、農業農村・工学では約20名となっています。
理系学生が国家総合職(理系区分)や省庁に属する研究機関での採用を希望する場合、狭き門であることを覚悟する必要があります。
国家総合職を文系区分で受験する際の注意点
理系学生であっても、国家総合職を文系区分で受けることは可能です。しかし採用試験を突破するためには、文系学生にはない注意点があります。
ここでは理系学生が国家総合職を文系区分で受験する際の注意点について、詳述します。
①「理系なのに文系区分で受ける理由」を用意する
公務員試験では「教養一択試験」「専門択一試験」「論文試験」「面接試験」の4段階で、採否が決定されます。順調に筆記試験をパスできたとしても、面接試験に注意が必要なのです。
理系学生が国家総合職の文系区分として面接に臨む場合、「なぜ理系ではなく文系区分で受けたのか」について質問されます。就活生の本音として「公務員になるためには、募集が少ない理系より文系の方が可能性が高い」という思いがあったにせよ、それを答えれば採用されることはありません。
理系で学んだことを生かして、応募した職種でどのように活躍したいと考えているのか、きちんと説明できるように用意しておきましょう。
②試験科目と大学の勉強・卒論の両立が大変
国家総合職・文系区分の中でも、「法律系」「経済系」「行政系」を目指す場合は、「専門択一試験」を受けなければなりません。試験科目は職種ごとで異なり、大学で学ぶレベルの問題が出題されます。そのため、専門分野の勉強が不可欠です。
理系学生の場合は、採用試験のある4年次には卒業研究が行われることもあり、試験科目と講義の勉強を両立させるのに苦労する学生は少なくありません。
③研究室選びも重要な要素となる
特に大学偏差値が高い大学に進学した理系学生の場合、大学院進学率が高い傾向があります。さらに理系で人気の研究室に所属するためには、学生で優秀な成績を収めている必要があることが多いです。
研究室によっては、自由で自分の時間を確保できたり、先生が厳しく研究内容にも制限が多かったりするので、両立がしやすい研究室に入ることができるかどうかは重要です。先生が試験に理解があるかどうか、という点も見逃せません。
人気の研究室は倍率が高く、入るためには今までの成績が重要になります。そうすると、研究室での時間を確保するために、1年生のうちから大学の勉強と試験の両立が必要になります。
公務員を検討するなら予備校に通うべき
公務員の採用試験内容は、民間企業とはまったく違います。職種によって勉強すべき科目も変わるので、合格率をあげたいなら予備校を利用することをおすすめします。
- 東京アカデミー
- TAC
- クレアール
- 資格スクール大栄
- 大原
公務員予備校として合格実績が高いところとして、上記5つが有名です。カリキュラムや合格実績を検討して、入校先を決めましょう。
まとめ
公務員試験には理系区分と文系区分があり、理系学生であればどちらも採用試験を受けることができます。しかし国家総合職・国家一般職・国家専門職・地方上級(技術系)・各省庁の研究機関などによって、試験内容が異なります。しっかりリサーチしたうえで、職種を選んで準備することをおすすめします。