証券会社は激務と評判です。特に、SMBC日興証券や野村證券で働く人のなかには、「辞めたい」「転勤多すぎ」といった厳しい意見も耳にします。一方で、大和証券のようにいち早く働き方改革を取り入れた事例も注目すべきでしょう。今回は、証券会社の激務度をチェックしつつ、その将来性も検証していきます。
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この記事の監修者
キャリアカウンセラー|秋田 拓也
厚生労働省のキャリア形成事業にキャリアコンサルタントとして参画。
大手警備会社にて人事採用担当として7年間従事の後、現職にて延べ200名以上の企業内労働者へキャリアコンサルティングを実施。
■所持資格
国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)
証券会社とは
野村証券や大和証券といった証券会社を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。しかし、証券会社が具体的にどのような仕事を行っているかと聞かれると、なかなかスムーズに応えられる人は少ないでしょう。
証券会社の仕事は主に次のような3つの部門に分かれます。
- リテール営業部門
- 投資銀行部門
- リサーチ部門
各部門について以下で詳しくお伝えしていきましょう。
リテール営業部門
リテール営業部門とは、個人向けの営業のことです。個人宅などに直接営業に訪れ、自社で扱っている金融商品を勧めたり、口座を開設してくれるよう説得します。
証券会社では、こうした個人の顧客から資金を集め、株や外貨、債券などに投資しています。そして、投資の運用によって利益が発生すると、その一部を顧客に還元するという仕組みです。これを「ブローカー」ともいいます。
投資銀行部門
投資銀行部門では、自社の資産を有効活用して投資を行います。リテール営業部門では、主に個人顧客の肩代わりをする形で投資を行いますが、投資銀行部門では、自分たちの利益を最大化することが目的です。
証券会社自身が投資を行うため、これを「ディーラー」ともいいます。
また、企業から預かった株式を第三者に販売することも珍しくありません。これを「セリング」といいますが、こちらも証券会社の重要な仕事です。
リサーチ部門
証券会社では、株や外貨、債券といった様々な金融商品を扱います。そのため、国内や海外の経済事業、企業動向、政府の規制・政策などの情報が必要です。
こうした情報を集めるのがリサーチ部門の仕事です。他社より有利な運用ができるよう、集めた情報を分析することもあります。そのため、「(証券)アナリスト」という呼び方も一般的です。
証券会社が激務と言われる理由
証券会社の就職情報を探していると、よく「激務」「辞めたい」といった評判も目にします。確かに証券マンといえばハードワーカーのイメージも強いですが、本当にそれほど激務なのでしょうか。
今回は、特に激務だと評判のリテール営業部門と投資銀行部門の内情を探ってみました。
リテール営業部門
リテール営業部門のメイン業務といえば、個人顧客向けの営業です。つまり、個人宅などに出向いて金融商品の宣伝・販売などを行います。
BtoB(企業対企業)の営業に比べ、個人向けの営業は激務だと評判です。また、証券会社が扱っている「金融商品」というカテゴリーが、仕事の激しさに拍車をかけているようです。
それでは、リテール営業部門の仕事具合を見ていきましょう。
新規開拓で断られ続ける
リテール営業部門では、まず間違いなく飛び込み営業が基本です。既存顧客に対する新商品の売り込みではなく、ほぼ「新規顧客の開拓」がメイン業務となります。
訪問販売を一度でも経験したことがある方はお分かりかと思いますが、いきなり家にやって来て、「この銘柄(株)、とてもおすすめですが買いませんか」と言われると誰でも怪しいと思いますよね。
このように、金融商品の訪問販売はそう簡単に売れるものではありません。営業先で断られることも多く、1日中歩き回って1件も契約が取れないということもあります。
ノルマがきつい
証券会社には営業ノルマが課されていることも珍しくありません。特に、大和証券や野村證券といった大手証券会社ならなおさらです。
なかなか新規開拓で契約が獲得できないなか、上司からはしきりにノルマの催促が来る。これでは、激務と言われても仕方ありません。
相場が下がるのは不可抗力
リテール営業部門の仕事は契約を獲得して終わりではありません。顧客に勧めた銘柄の運用で利益が出て初めて、営業が成功したといえるでしょう。もちろん、予想外の出来事で損失など出そうものならクレームものです。
相場が好調で利益が出ているときは良いものの、損失を出しているときは顧客へのフォローが大切となります。既存顧客への細かい気配りも営業マンのスキルとして試されているのです。
投資銀行部門
投資銀行部門もリテール部門と同じく激務と評判です。どちらも金融商品を扱って、取引に大きな影響を与えているという意味では変わりません。やはり、株や証券などを扱う企業ほど、精神的に厳しい立場に立たされるようです。
では、投資銀行部門の内情についても詳しく探っていきましょう。
労働時間が圧倒的に長い
投資銀行部門は、個人顧客から受けた発注から、自社で直接金融商品を注文する「実務のエリート」です。しかし、労働時間が圧倒的に長いという点は、証券会社が激務と噂される一因にもなっています。
たとえば、「早朝5時に仕事が終わって朝8時に出社」、というような話はよく聞きますが、実態とそこまで乖離はありません。証券会社では、株から債権、不動産と様々な商品を同時に取引していくため、当然、仕事も長く激務となります。
利害関係者との調整が大変
証券会社では、基本的に一度に大量の資金をかき集めて特定の銘柄に投資することで、より大きな利益を獲得します。つまり、膨大な顧客が証券会社にお金を預けていることになるのです(機関投資家といいます)。
一度の運用金額が大きくなるということは、それだけ利害関係者の数が多いということを意味します。証券会社はその間に立ち、それぞれの利害を調整することが多いため、やはり骨の折れる仕事といえるでしょう。
リサーチ部門が激務なのは決算時期
証券会社にはリサーチ部門も存在しますが、ほかの部門に比べると仕事のハードさは劣ることがほとんどです。
しかし、リサーチ部門が一気に慌ただしくなる時期があります。それが「決算時期」です。
特に、日本の企業は3月と9月いずれかに決算を迎えることが圧倒的に多いため、この時期のリサーチ業務は大変な激務となります。
今年度の売上や営業利益、純利益といった業績はもちろん、資産と負債のバランスを分析したり、中期経営計画を読み取って1~3年後の業績まで予測しなければなりません。
証券会社で特に激務なのは投資銀行部門
証券会社で特に激務なのは、投資銀行部門といっても過言ではありません。
投資銀行部門では、顧客または自社の大切な「お金」を預かる業務を行います。自分の腕一つで個人や会社の利益・損失が決定するため、当然ですがのしかかってくる重圧も大きなものとなるのです。
また、投資銀行部門にもノルマが課せられています。会社が設定した運用成績をクリアできないようであれば、即クビを切られるという厳しい世界です。
リサーチ部門から分析情報は上がってくるものの、自身でも投資についてしっかりと勉強することが欠かせません。
証券会社が激務という人の声
実際に証券会社で働く人は、同業界をどのように評価しているのでしょうか。
今は証券会社で営業やってるけど残業も酷く大手ではないため低賃金。新規開拓の飛び込み営業のため身体もきつい、、ただ人とのコミュニケーションとかマーケット・経済は好きなのでそこが救い、、
大学での司書課程の時から図書館学が好きでいつかはその業界で可能性を見出したいが足踏み中です— YR (@yr_inf) November 11, 2018
上記のツイートからは、リテール営業部門の激務さがひしひしと伝わってきます。一方、仕事が忙しいだけあって経済や金融など学べる部分も多いようです。
今日も休日出勤…早く仕事辞めたい…仕事辞めたら投資銀行勤務の闇みたいな本を書きたいわ…
— あめ🐣 (@___amecosame) June 8, 2019
上記のツイートのようにかなりネガティブな意見もあります。ただでさえ平日も激務なうえ、休日出勤まで多いとなると「辞めたい」という気持ちも分かるような気がします。
証券会社は激務な一方、良いところもある
証券会社は激務で有名ですが、決して悪いところばかりではありません。先ほどのように、「経済知識が身につく」という前向きなツイートもあり、激務と引き換えに得られるものも多いのです。
ここでは、証券会社で働くメリットについてお伝えしていきましょう。
成果次第で超高給になる
証券会社の高いノルマ設定を裏返せば、成果さえしっかりと出せば高給が期待できるということです。特に、投資銀行部門では成績がよければ20代で3,000万も夢ではありません。
外資系の生命保険会社のような完全成果型ではなく、一定の給与が保障されている点も大きな強みでしょう。
より高い給与を狙うなら「五大証券」がおすすめです。野村證券、大和証券、SMBC日興証券、みずほ証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券は売上規模が最大で、運用成績も高いことから1,000万円以上の高給が期待できます。
金融知識が身につく
証券会社では、どの部門で仕事をしていても金融や経済の知識が身につきます。高い給与も魅力的ですが、一生の知識やスキルが身につくのも捨てがたい点です。
特に、投資銀行部門やリサーチ部門は金融資産の運用に直接的に関わります。それだけに、国内・海外経済、運用テクニック、企業動向、政治の専門的な知識を習得することが可能です。
仮に証券会社を辞めた場合でも、今までの知識を生かして自分自身の資産で投資を行うこともできます。
スケールの大きな仕事に携われる
証券会社の扱う投資金額は、個人投資家のものとは比較になりません。特に、五大証券会社の取引にもなると、1日に数兆円単位のお金が動きます。
経済に与える影響も大きいため、ほかの仕事では味わえないスケール感を実感することができるでしょう。
また、証券アナリストの分析レポートは、個人から機関投資家まで様々な人から重宝されます。証券会社でしっかりと活躍できる人材になれば、自分自身の格が上がることは間違いありません。
証券会社に向いている人
証券会社は、金融商品を扱っている点で業務が特徴的なこと、さらに働く時間も長く激務ということもあり、向く人・向かない人が明確に分かれます。
以下で証券会社に向いている人を紹介していますので、これから就活を考えている方は参考にしてみてください。
目標のために手段を選ばない人
証券会社では、あまり細かいことは気にせず、淡々とノルマをこなしていく強い精神力が欠かせません。
特にリテールでは古い体質の営業が依然として残っているため、そこに疑問を感じたり、無駄に正義感を持ってしまうと、仕事と気持ちの間で板挟みになってしまいます。
自分の成長がモチベーションになる人
証券会社には、金融・経済の知識を身につけることができるほか、スケールの大きい仕事に携われます。こうした自身の成長を生かしてモチベーションにできる人が、証券会社に向いているといえるでしょう。
ただし、心身ともに無理をすると長続きはしません。「自分のペースで伸び伸びと仕事をしたい」という方は、別の仕事を選ぶことをおすすめします。
大和証券は働き方改革で先行する
証券会社が激務といわれるなか、従業員のワークライフバランスを見直そうとする企業も出始めました。それが、以下で紹介する大和証券です。
大和証券は、今まで当たり前だった残業を廃止し、「全員19時前退社」を義務化しました。業界でもいち早く働き方改革を取り入れた証券会社として話題を集めています。
確かに残業をすることで仕事時間が増え、ノルマ達成や売上向上といった効果もあるかもしれません。しかし、実際には働く人の意欲を削ぐだけで長続きしないため、大和証券は思い切って残業時間を削減したのです。
一方、フレックス制度やリモートワークなどが徐々に浸透する昨今では、この「19時前退社」ですら古い価値観になろうとしています。大和証券は、時代の進化をいち早くキャッチし、より従業員が働きやすい環境を整備しようとしています。
証券会社以外にも激務な仕事はまだまだあります。激務な業界・職業TOP10をチェックしたい方は、以下の記事をご覧ください。
まとめ
証券会社は、リテール営業部門と投資銀行部門を中心に、残業やノルマなど激務ということが特徴的でした。
しかし、大和証券の「全員19時前退社」のように、従業員の働きやすさを重視し生まれ変わろうとしている証券会社も存在します。今後は証券会社の激しい仕事も見直され、より時代にフィットした企業がたくさん登場することでしょう。