「働くからには、舞台に関わる仕事がしたい!」と希望している就活生もいることでしょう。スポットライトを浴びる演者以外にも、舞台には裏方仕事がたくさんあります。しかし専門性が高く、求人も多いとはいえないのが舞台の裏方仕事です。そこで今回は、舞台に関わる裏方仕事の内容と就職方法について説明します。
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この記事の監修者
キャリアカウンセラー|秋田 拓也
厚生労働省のキャリア形成事業にキャリアコンサルタントとして参画。
大手警備会社にて人事採用担当として7年間従事の後、現職にて延べ200名以上の企業内労働者へキャリアコンサルティングを実施。
■所持資格
国家資格キャリアコンサルタント、産業カウンセラー、CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)
舞台の裏方とは
日本国内にも数多くの劇場があり、毎日何某かの公演が行われています。公演と聞くと舞台に立つ演者を連想する人が多いと思いますが、実際に舞台を支えているのは裏方です。
舞台の裏方とは、来場者から見えないところで仕事をしている人たちすべてを指します。来場者と接する受付や案内は表方に分類されます。
舞台には裏方が欠かせない
舞台の裏方は、演者をよく見せることが仕事です。そのため業務が細分化されており、たくさんの人数が関わっています。
新橋演舞場で舞台を行う場合には、舞台上で働くスタッフが30名、楽屋周りの担当が20名、それ以外の場所で業務についている人が10名前後と、1日に60名もの裏方が関わっています。
舞台の裏方には公休日があるため、公演が1カ月に及ぶ場合には、延べ人数で100名のスタッフが必要とされています。公演規模で必要な人数は変わりますが、舞台に裏方が欠かせないことに変わりはありません。
舞台の裏方の面白さ
華やかな舞台を下支えする裏方の面白さといえば、演者の演技や歌、演奏を何度も間近に見られることでしょう。著名人からアマチュアまで、様々な人たちを陰で支え、作品づくりに関われることが醍醐味と感じる人が多いようです。
また、公演のたびに場所や関わるスタッフが変わるので、出会いの場も多く新鮮さを失わずに仕事ができる点を魅力にあげる裏方の方もいます。
来場者が感動する舞台を支えているという自負、そして講演後の割れんばかりの拍手がモチベーションの維持につながるのでしょう。
舞台の裏方の仕事一覧
舞台の裏方は幅広く、担当によって仕事の発注先が異なります。会社が扱う仕事もあれば、劇場の担当者が担う業務、フリーランサーに声がかかるものもあるのです。
ここでは、舞台の裏方の仕事について詳述します。
総合会社・専門会社が担う仕事
舞台の裏方として就職する先の一つ目は、音響・照明・大道具などが揃った総合会社や、分野に特化した専門会社です。
就職すると会社員になりますので給料が安定し、会社の規模によっては大掛かりな公演やコンサートの仕事をするチャンスもあります。
ここでは総合会社や専門会社で携われる仕事について、具体的に紹介しましょう。
音響
音響は演出家の意向を聞いたうえで、公演作品に合うサウンドエフェクトを考えるのが仕事です。劇中音楽だけでなく、効果音の用意やアナウンス・ナレーションの編集も担当します。
向いているのは、
- 音響機器に強い人
- 柔軟な発想を持った人
- 俯瞰的に状況が見られる人
です。
照明
照明は、舞台に関する照明デザインを手掛ける仕事です。演出家やその他のスタッフの要望を聞き、稽古場で演者の動きを確認したうえで照明の配置や色を決定します。
向いているのは
- 美的センスがある人
- 作品の理解力が高い人
- 機材の知識を持っている人
などです。
大道具・小道具
大道具は舞台に必要なパネルなど大きな装飾物をつくる仕事で、製作と現場に分かれます。製作は実際に大道具をつくり、現場ではセットの建て込みを担当します。一方の小道具は、舞台で使う小物の手配・配置・修繕をするのが仕事です。
向いているのは
- 大道具は体力がある人
- 小道具はセンスがある人
- 共通しているのはコミュニケーションスキルが高い人
です。
衣装
衣装は、作品に合う衣装を用意するのが仕事です。予算がある公演の場合は衣装を一からつくるので、生地選びからフィッティング、仮縫い、仕上げまですべての工程を担当します。公演中の衣装のメンテナンスも大事な仕事です。
向いているのは
- ファッションセンスのある人
- 着付けができる人
です。
メイク・床山
メイクは床山と言われることもあり、公演に合わせて化粧だけでなく、ウィッグのフィッティングも担当します。時代劇に使われるかんざしやほっかむり用のてぬぐいも、メイクが管理します。
向いているのは
- 細かな作業が好きな人
- 丁寧な仕事ができる人
です。
電飾
電飾は照明の図面に基づき、色や発光の強弱で舞台を彩る仕事です。舞台のコンセプトやデザインに合う機材を用意し、電気に関わる演出をコーディネートからオペレーションまで担当します。電飾の専門会社として有名なのがKOMADENです。
向いているのは
- 電気や機械の専門知識がある人
- 協働作業が得意な人
- 人と接するのが好きな人
です。
映像
映像はより舞台を魅力的にするために、クオリティの高い舞台映像をつくる仕事です。またメイキング映像や、舞台後のDVD製作を担当することもあります。映像専門会社として有名なのが、ビスケです。
向いているのは
- 好奇心旺盛な人
- 自分の考えを言葉で伝えられる人
です。
特殊効果
特殊効果は、舞台上の花火や炎、スモークなどの演出を担当します。噴水や紙吹雪、シャボン玉といった視覚効果も、特殊効果の範疇です。特殊効果は火薬や高圧ガスを扱うため消防法に精通している必要があり、専門とする会社に就職しなければできない仕事です。
向いているのは
- 想像力のある人
- デジタル機器に強い人
- 化学が得意な人
です。
舞台監督
舞台監督は、公演に関する全責任を負います。演出家がイメージする舞台を実現しながら、決められた期間・時間の中で進行できるよう指示を出します。そのため、裏方で手が足りないセクションの仕事をサポートすることも多いです。
向いているのは
- 常に冷静な人
- 度胸と判断力がある人
- 心身ともに強い人
です。
制作
制作は、プロデューサーといわれることもあります。公演にまつわる予算を握り、キャストやスタッフ、公演会場、時期、形態などを決定する権限を持ちます。経済面だけでなく、時間的な管理も行います。
向いているのは
- 金銭感覚に優れている人
- 市場のニーズに敏感な人
- 人づきあいがうまい人
などです。
劇場が担う仕事
舞台の裏方として就職する先の二つ目は、劇場です。です。会社員なので収入が安定し、勤める劇場の規模が大きければ、いろいろなアーティストと関わるチャンスがあります。
ここでは劇場スタッフとして携われる仕事について、具体的に紹介しましょう。
機構操作
機構操作は、劇場に設置されている様々な演出機器を操作する仕事です。舞台によってセリの高さや盆の回し方、奈落から舞台上にあがるすっぽんのアップダウンが異なります。舞台監督の指示のもとで、安全に配慮しながら様々な機器を操作します。
向いているのは
- 堅実な人
- 慎重な人
- 機械操作に強い人
です。
票券
票券は、公演のチケット管理を行う仕事です。公演を行うクライアントの意向にそってチケット販売方法を企画するほか、受付サイトやDMの作成、応募管理・当落抽選・座席抽選・発送業務まで手掛けることもあります。
向いているのは
- 人と接するのが好きな人
- 物事に粘り強く取り組める人
- 細かな作業が得意な人
です。
案内
案内は公演中に、お客さまと接する仕事です。チケットの確認だけでなく、座席までの案内など、来場したお客さまの要望に合わせて働く表方スタッフの一種です。
向いているのは
- 人と接するのが好きな人
- 接客が得意な人
です。
フリーランスが多い仕事
就職するというより、フリーランスとして舞台に関わることが多い仕事もあります。個人として契約するだけでなく、劇団に所属して活動する人も多い仕事です。
ここではフリーランスの人が多い裏方仕事について、具体的に紹介しましょう。
脚本家
脚本家は、台本を書くことが仕事です。原作を上演ができるように書き直すこともあれば、オリジナル作品を仕上げることもあります。プロデューサーや主演の演者などと打ち合わせながら、公演のための台本をつくりあげます。
向いているのは
- 文章力がある人
- 発想力や想像力が豊かな人
- 舞台の見せ方を知っている人
です。
演出家
演出家は、公演する舞台スタッフの総指揮者です。作品をイメージしたうえで演者に指示を与えたり、音楽を発注するなど、作品づくりの根幹を担います。ただし公演によっては、観客動員数が見込める演者の意見が優先されることもあります。
向いているのは
- 想像力が豊かな人
- 他人の感情がよく理解できる人
- 観客の目線に立って物事を考えられる人
です。
作曲家
作曲家は、演出家の意向を組み、作品にフィットする楽曲をつくる仕事です。舞台音楽の場合、場面に合わせて時間が指定され、その中でオリジナル曲を作曲します。
また、舞台で使用する音源を録音する際には音楽監督として采配を振るいます。
向いているのは
- 音楽のセンスがある人
- 遊び心がある人
- 楽器が弾ける人
- 創造力豊かな人
です。
舞台に関わる仕事がしたい人へのヒント
舞台に関わる仕事に就くためには、通常の就職活動を行っているだけでは足りません。舞台関連の職種を理解したうえで、自分に適性のあるものを選び、就職する方法を考える必要があります。
ここでは舞台に関わる仕事がしたい人へのヒントを、いくつか紹介します。
就職するなら専門会社がオススメ
舞台は、テレビや映画と比較すると業界的に収入が低めです。それを理解したうえで、舞台の裏方仕事に就く必要があります。
そう考えると、給料が低めであっても、音響や特殊効果などの専門会社に就職するのがおすすめです。会社員であれば雇用が安定しますし、基本給が安くても、社会保険加入や通勤交通費の支給といった福利厚生が充実しているからです。
会社のよっては、残業手当などの特別手当がつき、公演が満員だとお祝儀が出ることもあります。
舞台の裏方でオススメの仕事
職種によって異なる仕事内容については前述しましたが、おすすめなのは「音響」「照明」「大道具」の3つです。その理由は
- 総合会社での募集が多い
- 舞台だけでなく、テレビや映画でも需要が高い
- この3つの専門技術が学べる専門学校がある
の3つです。そして電気工事士の資格があれば「音響」に、危険物取扱主任者の資格があれば「特殊効果」に採用されやすくなります。
自分の適性や持っている資格も考慮して、裏方のどの仕事に就くかを検討しましょう。
他の業界からでも舞台に関われる
舞台を支えているのは、裏方仕事を担うスタッフに限りません。音響や電飾をつくるメーカーや音楽の演奏家、宣伝を担当する広告代理店、公演を紹介する出版社など、一つの舞台にはいろいろな会社が関わっています。
また小道具を貸出したり、食べ物や花といった消えものを販売するショップも、間接的に舞台と関わっているといえます。舞台以外の業界でも、公演に関わる手段はたくさんあります。
自分の生活設計も念頭に置いたうえで、舞台とどう関わりながら仕事をしていくか、検討してみることをおすすめします。
舞台の裏方に就職する方法
直接舞台に関われる裏方として就職する方法は、いくつかあります。自分が置かれている状況によって、ベストな選択は異なります。
ここでは舞台の裏方に就職する方法を3つ、ご紹介します。
専門学校・大学から就職
まず、裏方仕事について学べる専門学校や大学に進学し、就職先を探す方法です。ただし演劇について学べる専門学校や大学の大半は、演者である表現者を養成する学科・コースです。
自分が目指す職種が決まっている場合は、必要なことが学べる学校を探すことから始まります。
専門の学科・コースがある専門学校や大学には、裏方仕事の総合会社や専門会社から求人が寄せられます。学内選考があるところもありますが、就活サイトを使ってエントリーするより合格の確率が高いので、積極的に応募しましょう。
資格を取得して求人へ応募
やりたい裏方仕事が明確な場合は、仕事に必要な資格を取得してから応募するのも一つの方法です。
中でも「舞台機構調整技能士」を取得しておくと、劇場への就職に役立ちます。また、総合会社の場合は大型免許の中でも「トランポ」を取得しておくと、採用の確率はアップします。
劇団で仕事を覚える
専門学校や大学に進学するのが難しい場合は、劇団に入団して仕事を覚えるのも選択肢の一つです。
大きめの劇団に入団できれば、裏方仕事を外注する可能性が高いので、業界関係者とつながりをつくりつつ、実務を学ぶ機会があります。小さな劇団の場合は、見様見真似で実践しながら仕事を覚えることになります。
まとめ
舞台の裏方仕事は専門職も多く、求人が豊富にある業界とはいえません。しかし志があれば進学や資格取得をきっかけに、舞台業界への就職を果たすことは可能です。自分の適性や生活の安定度なども考慮したうえで、職種を選ぶことをおすすめします。また最初はアルバイトから始め、正社員登用を目指す道もあるので挑戦してみましょう。