国内最大のディスプレイデザイン会社である乃村工藝社には、「激務」「辞めたい」といった評判も流れています。しかし、口コミや掲示板の意見を参考にすると、社風の良さや裁量権の広さに好感を持つ方も少なくありません。また、年収や待遇も良いという特徴があります。今回はこうした評判を検証し、その真相を探ってみました。

乃村工藝社はディスプレイデザイン会社

乃村工藝社（のむらこうげいしゃ）は、国内大手のディスプレイデザイン会社です。売上高は1,155億円（2017年2月期）で従業員数は1,568人（連結）と、大手企業に属します。同業種では、丹青社と並ぶ2大リーディングカンパニーです。

ディスプレイデザインとは、大型オフィスの企画・デザインから、博物館の空調・電気・衛生設備工事の計画などを担当します。

私たちの身の回りでも、実は乃村工藝社の仕事がかかわっているものが少なくありません。中目黒のスターバックス（施設）、東京モーターショーにおける企業ブースデュース（イベント）などが代表的です。

では、乃村工藝社では具体的にどのような業務を行うのでしょうか。ここでは、各部署の職種を紹介していきます。

営業職

乃村工藝社の企画やデザイナーとクライアントをつなぐ業務です。顧客との窓口でもあり架け橋でもあります。

クライアントの予算や納期、品質などを各部署に伝え、要望通りのサービスを提供することが主な役割です。また、役職が上がると、プロジェクトリーダーとしてチームをまとめる役割も担います。

企画・プランニング職

クライアントの要望や事業環境の調査内容によって、具体的な企画やプランを考えていく仕事です。主にミュージアムやショールーム、展示会、ワークプレイスといった施設の企画提案を行います。

求められるスキルとして、クライアントの要望にかなったテーマやコンセプトを生み出せる発想力のほか、コミュニケーション・スペースの知識も欠かせません。

デザイナー職

デザイナー職は、クライアントの要望を具体的なデザインという形にする仕事です。空間デザインを中心に、社内の各部署だけではなく外部の専門家とも協働して良いデザインを作り上げます。

海外で空間・インテリアデザイン業務を担当することもあり、英語のスキルがあれば活躍できる範囲を拡大できます。

制作・ディレクター職

主に、予算や工程、品質、安全面を管理し、複数の製作スタッフを統括して計画を実施する仕事です。デザインの意図やクライアントの要望を踏まえ、その空間を利用するユーザーが満足する内容に仕上げていきます。

プランナーやデザイナーをまとめるリーダーシップが求められるでしょう。また、クライアントや営業からあがってきた要件をまとめる論理的思考能力も必要です。

乃村工藝社が激務と言われる理由

乃村工藝社の平均年収は804万円（43.5歳平均・四季報調べ）と、給与面での待遇は良いことが伺えます。しかし、就業者や転職者の評判を見ると、実際の仕事は激務になることも多いようです。

もし、乃村工藝社への就職を考えている就活生の方は、次のような一面もあることを覚えておきましょう。

理由①｜残業が多い

乃村工藝社では残業の多さによって激務と感じる社員が多いようです。特に、プランナーやデザイナーといった製作業務ほど激務度が高くなっています。

現場では、顧客の都合による急な仕様変更やスケジュール変更が起きたときに残業が頻発します。またデザイナーは納期厳守が求められるため、繁忙期になると長時間労働の頻度も高くなるのです。

理由②｜イベントで休日出勤

乃村工藝社は空間デザイン事業を進めていることから、どうしてもイベントや博覧会といった不定期業務が発生します。そうしたイベントは土曜や日曜に行われることも多いため、社員は休日でも出勤しなければならないことが多くなるのです。

理由③｜現場は夜も稼働することがある

乃村工藝社の仕事は、主に日中にクライアントや営業などの各所と打ち合わせを行っています。そのため、現場のディレクションや監督業務は夜間に行われることもあり、定時外に仕事をする機会も珍しくありません。

業務時間はクライアントの現場によって異なります。急な呼び出しにも対応する必要があることを覚えておきましょう。

乃村工藝社で働く醍醐味は確実にある

乃村工藝社の業務は激務という評判はあるものの、社内でパワハラがあるわけでも、給与が極端に低いわけでもありません。そのため、純粋に「仕事」が忙しいタイプ（ブラック企業とまでは言えない）です。

事実、乃村工藝社に入社して大きな成長を実感したという意見も少なくありません。社内の風通しも良く、個人の裁量も大きいため自主性とやる気があれば、どんどん上に昇っていける環境が整っています。

乃村工藝社の社風

乃村工藝社の社風は、社員の成長を促すアイデアや考えが徹底していることが特徴的です。個々の社員が成長できるよう充実した研修制度を整えていたり、研修内容も非常に丁寧といった口コミが目立ちます。

ただし、自分自身がしっかりしていないと成長の機会を逃してしまうといった意見も見られました。会社から提供される制度をいかに自分のスキルへと落とし込むか。こうした自己管理能力が求められているといっても良いでしょう。

丹青社の社風との違い

同業他社の丹青社（たんせいしゃ）は、乃村工藝社の社風とは全く異なります。

社内環境は縦割り型で、多くの非正規労働者を抱えていることからマニュアル化・定型業務が中心です。個人の裁量が大きく、自由度の高い乃村工藝社とは正反対といえるでしょう。

ただし、与えられた仕事を淡々とこなせる方にとっては丹青社のほうが向いています。

乃村工藝社志望者に求められる資質

乃村工藝社を志望する方には次のような資質が求められます。

• 資質①｜リーダーシップ
• 資質②｜乃村工藝社への熱意

特に、就活生の方であれば乃村工藝社への志望理由を考えるときに参考にしてみてください。それぞれの資質については、以下で詳しくお伝えしていきます。

資質①｜リーダーシップ

乃村工藝社の業務ではリーダーシップが求められることも珍しくありません。

営業職では、経験を積んでステップアップしていくとプロジェクトリーダーへの道も見えてきます。また、制作・ディレクター職を志望する場合でも、様々な制作スタッフをまとめ上げる能力が必要です。

資質②｜乃村工藝社への熱意

乃村工藝社への熱意は、同社で内定を獲得するために何を差し置いても重要な要素です。

ディスプレイデザイン会社は乃村工藝社だけではありません。ほかにも丹青社やラックランド、TOWなど様々な企業が存在するため、当然ですが乃村工藝社への熱意が求められます。

就活生の方は、「なぜ丹青社ではなく、乃村工藝社を志望するのか」という質問に明確な答えを出せるように考えておきましょう。

まとめ

乃村工藝社は残業や休日出勤といった定型外の業務が発生するため、なかには「激務」といった声も耳にします。しかし、社内の風通しの良さや裁量の大きさなどメリット面も強く、仕事のやりがいを感じる社員も少なくありません。

もし、乃村工藝社を志望する場合、今のうちにリーダーシップ力を磨いておきましょう。また、乃村工藝社への熱意も求められるため、志望理由は入念に考えておくべきです。